双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

剣菱からのお歳暮

|猫随想|

いつも昼前には現れる筈の剣菱嬢だが、
今日は少し遅れて、午後を過ぎてのご出勤。
軒下で毛繕いなどして居るのが見えたので、
皿に御飯をよそって持って行くと、丁度、
私の通る動線に何やら、茶色っぽい毛玉の
塊のよなものを見付けた。はて、何かしら。
しゃがみ込んで確かめると、実にそれは
小さな小さな野ネズミの死骸なのであった。
たった今、其処の野原で仕留めたのを
持って来たばかりと云った風で、特に目立った
傷も無く、生前の姿のままに息絶えて居るが、
当の剣菱嬢は、是をアピールするでも無し。
いつものよに箱の上で寛いで、何食わぬ顔である。
「ねえ。お前、是を私にくれたの?」
「ニャー!」
そうかそうか、是はお前の気持ちなのね。
とは云え、このままにもしておけぬので(笑)、
気持ちだけを謹んで有難く受け取り、
剣菱が御飯を食べて居る間に、そっと拾い上げ、
紙に包んでこっそり、野原に埋めてあげた。


思いがけず剣菱から頂戴した、小さなお歳暮。
どうも有難う。とても嬉しかったよ。

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