双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

潤いの帯

|モノ| |着物|

猫らの世話にかまけ、小屋づくりにかまけ。
日々の雑事に、仕事に追われ。
はたと気付けば、己が放ったらかしで、
何やら心に潤いが足りて居らぬなぁ...と
そんな折、ふと目にした猫柄の帯へ一目惚れ。
ひと晩おいて熟考した後に是を買い求めた。
錆浅葱の綿麻生地に、仏頂面した大きな黒猫が
様々の格好で方々へ配された名古屋帯は、
どうやら洋裁用の生地から仕立てた品らしく、
生地自体が程好い厚みで芯地も薄いから、
軽くてやわらか。実に締め易いのが嬉しい。
それに何より、柄の黒猫の佇まいだ。
すっとぼけた感じだのに、何処か粋でもあり、
手持ちの着物は殆どが地味色の縞だから、
帯の錆浅葱が気の利いた合わせ色となって、
季節を選ばず、色々と重宝するに違いない。
今時期なら、鳶紫のお召に締めても良いし、
墨紺の川越唐桟に締めるのも宜しかろう。
茜、桔梗、芥子、赤黒市松.....と
帯締め帯揚げの組合わせも愉しかろう。
などなど、次から次へ実に愉しみは尽きぬ。
嗚呼。久々の、心潤う素敵な買い物であった。

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