双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

小屋づくり 其の一

|小屋仕事|


紙の上でだけは着々と進んで居る、件の「小屋計画」()であるが、土の上では依然として手付かずのまま。それは何故か?最も初めに取り掛かる作業であり、最も要の作業である”基礎仕事”を前にし、なかなか踏ん切り付かずにぐずぐずとして居たからで、是ではまったく基礎屋の娘失格、である。出来合いの小さな物置でも置くのならば、ささっと地面をならしたところへ、ブロックを平置きに並べるだけでも良いだろうけれども、或る程度の小屋を一から建てるとなると、そうもゆかぬ。
ちなみに、この度の小屋づくりは所謂”2x4工法”と云う建て方で、是なら素人の私にもがんばり次第で何とかなるであろう、と。基礎に関しては、当初の計画では2x4用の沓石か。或いは羽子板付の沓石を使って、其処へ2x6材で拵えた床構造を固定する方法を考えて居たのだが、如何せん。予定地である店裏のスペースは、陽の差さぬ日には湿気が抜けにくく、SPFのツーバイ材を使った床構造では長くは持たぬかもなぁ、と。それに基礎石を図面どおり正確に配置するには、先ず”水盛り遣り方”と云う面倒な作業が在る。水杭・水貫・水糸を使って正確な位置を出す作業で、是が疎かだと後の全てが台無しなのである。何事も基礎が大事、とは良く云ったもので、しかし、やらねばならぬものと分かって居ながら、いざ取り掛かるとなれば気が重いなぁ...とずるずる先延ばしになっていたところへ、父登場。


父は一昨年夏、長いこと患って居た膝に人工関節を入れる手術をしたのだけれど、お医者から現場の仕事はもう無理ですよ、と云われ、現場を息子である弟に譲ることとなった。まぁ、事実上の現役引退である。以来、予てよりの希望であったお遍路行脚に向けて、一日二回のウォーキングやプールでのリハビリなど、日々トレーニングを重ね、遂に今月初旬。ようやっとお遍路第一弾として徳島へ旅立ち、一週間の行脚を終えて帰ってきたばかりなのであった*1。お遍路が叶ったことで気力体力共に充実したのか、若しくは手持ち無沙汰なのか。小屋計画にも口を挟み始め、そうして、と或る朝。私は地面に杭打つ音で目を覚ましたのであった...。
しかしまったく、図面も確認せぬまま、己の見当で杭打ちを進める父。このまま任せて居たのでは手遅れになるので、慌てて着替えて手伝いに行き、寸法を書いた図面を見せるも「そんなことは最初に云え!」 最初に云えも何も、勝手に来て勝手に始めておいて、勝手な云い草である(笑)。一事が万事こんな父なので(B型)、四角四面の弟(AB型)とは仕事でも喧嘩ばかりであった*2。しかしながら、もの云いに少々カチンときても、最も難しいところを引き受けてくれるのだから、そこは好意と有難く、なだめなだめ。ヨイトマケし、セメントを練り、猫車を押し、黙々と手子に徹して作業を手伝った。作業場から拝借したレーザー墨出し機も使って、基礎仕事は二時間程でほぼ完了。後は重量ブロックを固定するコンクリートの乾くのを待って土を戻し、ブロックの要所へアンカーボルトを埋め込み、防草シートを張って砕石を敷く。これらの作業も翌日には終了。


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重量ブロックの独立基礎。
防草シートを張った上へ砕石を5cm程敷き詰めた。

重量ブロックは掘り下げた土中にコンクリートで固定。当初は沓石を使う予定であったが、わざわざ買ってこずとも、作業場に幾らでも在る重量ブロックを使うこととなったため、床構造も当初の予定の2x6材から、90mm角の大引き材で床枠を作った上へ構造用合板を張る方法に変更。それを六ヶ所のアンカーボルトで固定する。


スケッチと簡単な寸法図面。

図面と云ったって、寸法を書き付けただけの至極簡単なものなので、図面とも呼べない代物なのだけれども(笑)。又、おおまかな完成形こそあるものの、作業が進むに従って、ちょくちょく変更の出てくる部分も在るかと想う。否、むしろ変更の方が多そうであるな...。

*1:全行程を四回に分けて八十八箇所を巡る計画。第二段は高知の予定。

*2:ちなみに私はA型です。

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