双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

命名

|忍び|


さて。子猫を迎え入れることを決めた以上、そろそろ名前をつけてやらねばなるまい。とは云え、生まれて一ヶ月やそこいらの子猫だ。闇雲にちょらちょらと動き回るばかりで、幾ら眺めど、名付けの着想を得ることは存外難しく、先ずは適当に浮かんだ二文字の名からメモ紙へ書き付けてみる。テト、テオ、マオ、等々。なかなか良い名とは想うものの、何れもしっくりと来ぬ気がする。そもそも名付けとは、一閃のインスピレイションの導きに因るもの。其処で一旦、種々考えるのを止し、去る晩のめぐり合わせへ想いを馳せたところで、主ははたと気が付いた。
嗚呼、そうだった。チビ猫は爺様の生まれ変わり。彼岸へ渡った後、新たとなって戻って来た猫、即ち”行きて帰りし”猫である。又、目にも留まらぬ素早さで物陰に身を隠して潜み、縄抜けならぬ柵抜けの術を操る様などは、差し詰め”忍びの者”と云った風。ならば”ビルボ”こそ、このチビ猫の名に相応しいのじゃないか。それに、ピピンのトゥック家と縁戚であるのも、丁度宜しい。


さてもさても。新たな仲間*1が加わって、新たな長旅が始まろうとして居る。ピピンとビルボ。未だ未だぎこちない距離の二人(匹)であるが、この先、如何な道中。如何な旅の仲間となってゆくのやら・・・。



「たるにのるぞう」ならぬ「はこにもぐ郎」の図。

*1:或いは、扶養家族とも。

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