双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

先生の一番星

|小僧先生|


おんおん泣きながら、爺様のやわらかな死に顔を撫でて以来。
先生は宵の頃ともなると一番星を探し、手を合わせて居ると云う。


「なあ君、知って居るかね。何故ならあの一番星は、アー坊の星だからさ」


嗚呼、そうなのですね。
爺様は一番星になって、我々を静かに見守って居るのでしょうね。
星は一際大きく、薄い菫色の宵空の下。
私も先生と並んで、そっと手を合わせた。

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