|映画|
宮崎映画の男性主人公の中では、何を差し置いても、アシタカヒコである。「押し通る!」なのである。やおら諸肌を脱いだかと思えば、女たちに混じってタタラを踏む姿なんぞ、なかなかなのである。
昼食をつつきながら、昨晩放映の『もののけ姫』について真面目に語って居る内に、話は何故か逸れてゆき、宮崎映画の主人公は圧倒的に女性が多いが、男性主人公なら誰が素敵なのだ?となる。脇役を入れて良いなら、ナウシカのクロトワなのだけれども*2、主人公と問われればアシタカヒコで、是については珍しく、Aちゃんと意見が一致。宮崎氏の描く主人公の多くは、物語の進むに従って、段々と成長してゆくのが常であるけれども、アシタカに関しては、呪われた運命こそ背負っては居るものの、平均以上のスキルを予め持った青年で、何処にでも居る至極普通の若者とは、少々異なって居るよに想う。弓も刀も腕が立つ上、受けた呪いにより、皮肉にも人を超越した力を得、行いには迷いや物怖じが無い。勇敢で聡明な美丈夫と云えよう。タタラ場の女衆に冷やかされても顔色一つ変えない辺り、歳の割には随分と落ち着いたもので、感心である。加えて、何処と無く品在る色香の漂って居るのが、実に宜しい。
その後、最も好きな作品へ話は移る。二人とも『天空の城ラピュタ』で異論は無かろうと。パズーの小屋を始めとする鉱山町の諸々の描写が良いし、お得意の丸っこい航空機のデザイン、メカニックや細かな道具類、空賊に軍隊に豪快で如何にも旨そうな食事場面、等々。素敵な要素盛り沢山で、血湧き肉踊る純粋な冒険活劇として素晴らしい。渓谷での手に汗握る、追いつ追われつの場面も好きだが、シータがタイガーモス号の調理場で手際よく働いて居る場面も捨て難い。足の踏み場も無かったところを、腕まくりして片っ端から整えた後、ジャガイモをシュシュっと削ぎながら、鍋に放り込んでゆくところなんざ、たまらないのである。
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この曲良いよねぇ。