双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ものぐさの帽子考

|モノ|


それにしても私は良く帽子を被る。
単に好きだからと云うのも勿論あるが、ものぐさは自認するところであるので、朝もしくは出掛けの支度に、整髪をせずに済む利点は魅力であり、また着る物の色味が極めて地味であることから、そこへ帽子で差し色を加えることで体を成す、と云う、尤もらしい理由付けをすることもできる。
髪の長さはときによりけりだが、大抵の場合は非常に短いか。或いはおかっぱ、アルゼンチン*1、この三つの内の何れかであり、それによって合わせる帽子は、多少なりと異なってくる。そんなもの、どんな頭にどれを被ろうが変わり無かろうよ、と思われるかも知れないが、それが案外そうでも無い。いつだかも書いただろか。つば付きので好きなのは、何を差し置いても、六枚とか八枚はぎのハンチングなのであるけれども、是が短い髪にはマニッシュが過ぎて、些か塩梅が難しく、以前に、モンペみたいなサルエルパンツとやらにチョッキ着て、ハンチングなど被って居たところ、Aちゃん曰く 「駅の靴磨きかブルース弾きの爺さん」 だと云うので、やはり是には、おかっぱかアルゼンチンが良いらしい。*2
そこで、ふと考えてみた。冒頭で帽子を良く被ると書いておきながら何だが、どうやら髪の短い期間には、それ程帽子を被って居ないのではなかろか?あ。否、待てよ。確かに、春だの夏だのに被ることは少ないかも知れぬが、風に秋の気配を感じる季節ともなれば、待って居ましたとばかりに、毛糸の帽子を被り出すじゃあないか。春夏の分を差し引いても、是で上手く帳尻が合うと云う寸法である。毛糸の帽子は、大概が自分で編むので、色やら形やら。大きさも自分仕様にすることが出来るのが都合良く、上手い具合に仕上ったのが気に入れば、色を違えて、同じものを幾つか拵えたりもする。毛糸では専らベレー型のもので、小さめに編んで、何しろ是をすっぽりと、目深に被るのが好きなのだ。
とは云え、ここ暫くはずっと短い髪が続いて居り、そろそろハンチングが恋しくなり出したから、さあ、困った。そうなると、再び髪を伸ばさねばならぬのだなぁ。今のままだと、洗髪が楽で何よりなのだけれども。はて、どうしたものだろか。

*1:もじゃもじゃの鳥の巣頭を、私が勝手にそう呼んで居るだけです。

*2:そのときの取り合わせがいけなかったのではないか?とは考えないのか?と云う疑問が湧き起こっても、それは皆さんの胸に仕舞っておいて下さい。

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