2009-11-03 十一月 |縷々| 冷え込んだ空気が、鼻先をつうと刺す。 朝。タートルネックの上にセーターを着て、 それから寒空を見上げて、息を吸い込む。 夜。欠けたところの無い月明りの下で、 屋根瓦や枯野が銀色に光って居た。 まるでうっすらと薄い霜に覆われて、 ぼんやり、発光して居るみたいだった。 夜の部屋の中は、静かにしんと冷え冴えて、 編み針を持つ指先が、次第にかじかんでくる。 ココアの入った青いカップを掌で包んで、 唇を縁に付けると、もう熱が薄らいで居た。 一口飲んで、ふうと息をはく。