双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

十一月

|縷々|


冷え込んだ空気が、鼻先をつうと刺す。
朝。タートルネックの上にセーターを着て、
それから寒空を見上げて、息を吸い込む。


夜。欠けたところの無い月明りの下で、
屋根瓦や枯野が銀色に光って居た。
まるでうっすらと薄い霜に覆われて、
ぼんやり、発光して居るみたいだった。
夜の部屋の中は、静かにしんと冷え冴えて、
編み針を持つ指先が、次第にかじかんでくる。
ココアの入った青いカップを掌で包んで、
唇を縁に付けると、もう熱が薄らいで居た。
一口飲んで、ふうと息をはく。

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