双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

紫陽花と南京豆

|日々|


空模様が怪しい。聞けば、いよいよ関東地方も梅雨に
入ったのだと云う。未だ整わぬ心づもりと季節の齟齬の
埋まらぬ内に、早速、むうと白く濁った霧が降りてくる。
煩わしい湿り気を帯びた、梅雨入り頃の重たさと云うのは
存外厄介なもので、容易に刎ねつけることがままならない。
だらり。弛んだまま纏わって、首の後ろの付け根辺りを
鈍くする。そうなると一体、浮かぬ顔して過ごすこととなる
訳なのだが、ところでどうかした拍子に、紫陽花のことなど、
ふと想い起こしたか。夕刻には少々の気を良くして、
台所など掃除して。ついで、中国土産に頂いた南京豆の
小菓子を、一粒。掌からぽいと口に放った。甘い。

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