双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

流離う心に鍵は要らない

|戯言| |音|


「あ〜、どっかから金でもくすねてバッくれてぇなぁ〜」*1
右の耳の上に、Bicのボールペンを一本
横たに差した、化粧っ気の無い三十路女は、
余りにも澄み渡った空と、
其処に流れゆく、真白き雲を眺めて
つい、本音を漏らしてしまったのです。
押し入れの中で、すっかり埃臭くなった
馴染みのバックパックが、云うのです。
「相棒、また旅に出ようぜ。」と…。



長距離バスは辛いけれど、
見たい景色を見せてくれるよ。
君が見たかった、心の中の風景。
いつか見た、古ぼけた写真にも似た風景。
口ずさむのは、ウィリー・ネルソンでも
グラム・パーソンズでも良いけれど、
きっと乾いた空気の中に、君の口ずさむ歌と
ぴったりの景色が在る筈さ。
草臥れたシャツのポケットに、
煙草が未だ、充分残って居たなら最高。
ついでに、小銭も忘れずに。
何処かの南部人が、君の英語を
南部訛りに云い直してくれても、
それに悪気は無いんだよ。
ほら、行きたくなってこないかい?
なぁ相棒、また旅に出よう…。*2



おいおい、そんな事云われても。
そんな事云われても、困るよ。


[本日の私的珈琲と音楽]

Revival

Revival

  • グァテマラSHB


近いところで、久しぶりに
新緑の山にでも登ろかな。
頂上に着いたら、珈琲でも沸かして、
仰向けに寝転がったら、
きっと気持ち良いだろな。

*1:訳:嗚呼、何処かからお金でも拝借して、遠くへ行ってしまいたいわ。

*2:注:全て幻聴です。

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