双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

忘れようとしても思い出す96粒の涙さ

|徒然|

私たちはきっと、自分なりに様々考えあぐねながら
日々生きている筈で、それでも何故か、
ものごとの行き先が、自らの望んでもいない方へと
進んでしまったり、あまりの理不尽な出来事に、
言葉さえ見付からなかったり。
恐らく、それに答えは無い。
でも私は、この頃になってようやく
分かってきたような、そんな気がしている。
そうしたことには、必ず何かの意味が在り、
ただ無駄に苦しむための、
意味の無い仕打ちではないのだと。
ある日ある時、それを受け入れられるようになり、
ほんの一歩か二歩くらい、進めるようになり。
そんなような気がしてきている。
三十過ぎて、自分でも不思議なくらい
穏やかな気持ちで、日々を送れるようになった。
(勿論、そんな日ばかりではないけれど。)
単に、歳をとったと云ってしまえば、
それまでなのかもしれないね。
でも、若い頃にはまだ、気付けなかった、
そして、つまらぬとさえ思っていた、
日々の暮らしの意味や、何気ない事への姿勢。
そういう、いたって小さなことが、
ようやく大切なのだと、そう感じ始めている。
あんなに「くだらねえ」と思っていたのに。
私たちにとっての、辛い出来事の数々は
恐らく、お前なら耐えられるだろうよ、と
何処かの誰かさんから与えられた、その人への
個人的な課題みたいなもの、なのではないかしら。
そしてその先、日々の思いはそれなりの形となって
報われてゆくんだ。きっとさ…。
果たして、私たちは生きてゆく間に、
どれくらいの涙を流すのだろうね。
けれどもそうやって、夜に涙を流しても、
人知れず、切ない夜は明け、
その後はまた、いつもと同じように朝がやって来る。
そう、明けない夜はないのだもの。

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