双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

四十路の小躍り

|太極拳|


先週は散髪で休んだため、二週間ぶりの太極拳
套路は七式から先には進んで居なかったが、先生によると初心者組の進みは、なかなか早い方だそうだ。始まる前、例の個人指導の件でYさんに呼ばれて、暫しお話。
「何だか人数も増えちゃって、ホビ野さんを指導するまとまった時間がなかなか取れないけど、もし良ければ、早めに出て来て見てあげられるし、私の手の空いたときとか、休憩のときでも良いし。ただね、心配なのが、私が指導してホビ野さんばかりが先に進むと、Tさん辺りは面白く思わないんじゃないかな、って」
Tさんは同じ初心者組。自己主張が強く、物云いのはっきりとした人なので、Yさんは万一、彼女が快く思わなかった場合、その矛先が私へ向くことを心配して居るのであった。他の初心者生徒さんは皆、おっとりとした人ばかり故、思ったことをぽんぽん口に出すTさんのキツさが、どうしても目立ってしまうのだが、要は裏表の無い、サバサバとした気性の人なのだ。とは云え、Yさんの気掛かりも尤もで、だからこそ最年少者の私は、努めて控えめに徹して居る(笑)。「はい。Tさんの性格は重々心得て居るので、その点は大丈夫です」 
「そう?大丈夫?それとね、ホビ野さん、自分じゃ分からないかも知れないけど、長くやってる私から見ると、すごく筋が良いんだわ。だから、私も教え甲斐が在るんだけど、このまま続けたら、本当にめきめき伸びるよ!愉しみだね」
えー!!私、そんなに筋が良いの?この歳になって人から褒めて貰える機会など、殆ど無いものだから(笑)、今にも小躍りしたいよな心地であったが、グッと押さえて平静を保つ。嗚呼、やっぱり太極拳、好きだ。
さて。準備運動の後、本日は七式”左攬雀尾”から、向きを反転しての八式”右攬雀尾”へ。反転の際の動きは、以前にYさんより手解きを受けて居たので、すんなりと。しかし、どうも”捋(リー)”の際の腕の位置が定まらぬ。”捋”は相手の腕を両手でグッと押さえ、肘を決める形。実際に先生の腕をお借りして、その感覚を掴んでみる。「この辺りを盆踊り的に済ませてしまう指導者も居るけどね、ここはそうじゃないから、厳しくやるよ(笑)」と先生。そう。太極拳は武術なのである。相手の肘を決める手の位置を、しっかり体に叩き込む。
その後、休憩の際に、Yさんが套路を指導して下さった。九式は”単鞭(タンビエン)”と十式は”雲手(ユンショウ)”。太極拳では”上下相随”と云って、手と足の動きは常に連動し、一つに調和せねばならない。つまり、全身を一つにして套路を行う訳なのだけれども、”雲手”の手の動作は単純に見えてなかなか難しく、いきなり”上下相随”とはゆかぬため、先ずは”上”、手の動作から始め、文字通り、雲を描くよな円の動きを幾度も繰り返すも、時間切れにつき、今日は”上”のみで終了と相成り。「”単鞭”はもうできちゃったからね(笑)。次もすぐ覚えちゃうわよ!」そ、そうですか。そう願いますが...(笑)。

<