双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

小屋づくり 其の十

|小屋仕事|


【水曜日】
材料第三便が届いて居るものの、梅雨に入ってしまって天気が安定せず、仕事がなかなか進まない。養生のブルーシートを外すと元に戻すのが面倒なので、晴れて居る内にできる限り材木の寸法を取ってカットし、後は組み立てれば良い状態にすることとした。とは云え、今回の屋根構造に使用する材木は、角度を付けて斜めにカットせねばならず、しかしながら、正確な計算の方法もよく分からぬもので、いっそのこと、一枚のコンパネに実物大の図面を直接引いてしまえ、と。即ち、是を実物大の型紙としてそこへ材木をあてがい、寸法と角度を取れば良いのである。早速に妻小壁の図面を墨線と鉛筆とで書き、その上へ垂木の実寸も書いて加える。勾配(計算したところ約一寸三分であった)に合わせた角度は全ての材に共通なので、そこいらに転がって居た端材に写し取って、簡単な冶具も拵えた。
尚、このコンパネ図面は、材料の下準備が終わったら、切り出してそのまま妻小壁に貼れるのである。実に無駄の無い、賢い方法ではないか(笑)。この日は垂木九本と妻小壁に使う材をカットして終了。垂木の方は、両端の斜め切りも済ませた。


【木曜日】
いつもは午後の仕事の合間を縫い縫い、ちょこちょこと作業を進めて居るのだけれども、本日は幸か不幸か。殺人的に暇であったため(笑)、三時間中断無しで作業に没頭できたのであった。昨日カットしておいた妻小壁二枚分の材料に、角度を付けて斜め切りにする。垂木の際は丸鋸が使えたが、妻小壁の方は丸鋸が使えぬため、手鋸での作業となる。

(2x4材は厚さ38mmの幅89mm。赤く塗られた部分が斜め切りで切り落とす箇所。)


つまり、上の図のよに、妻小壁の斜め切りは厚さの面に。垂木は幅の面に角度を付けてカットするのだが、丸鋸の刃を目一杯出しても、材の下まで刃の届かない妻小壁の方は、地道に手鋸でもって、線がズレないよに気を付けながらギコギコとせねばならぬ訳で、是が結構一仕事。汗だくで苦労しながら材料を全て加工し終えたら、後は例の実物大コンパネ図面の其々の位置の上へ、各パーツを乗っけてビス留めしてゆけば良い。同じ作業を再度繰り返し、無事二つの妻小壁の枠が仕上がった。
さて。難関であった妻小壁の製作が何とか済み、いよいよ小屋に組み付ける作業へと移る。水上と水下の上部パネルに、頭つなぎの材を乗せてビス留めしたら、両パネルの間に組み上がった妻小壁をはめ込む。僅かに寸法の出てしまった箇所は少しずつノミで削リ、当て木の上から金槌で叩いて納めた。寸法が合わなかったら...と心配したものの、きれいに納まって一安心。さあ、後は切り出したコンパネを打ち付け、防水紙を貼って、本日の作業ノルマ達成じゃ!午後四時半に終了。
と、ここで昼御飯を食べて居なかったことに気付き、片付けも半分に、イカの塩辛と糠漬けで御飯を二杯(笑)。力仕事の後は、難所を越えた達成感も手伝って、しっかり腹も減るのである。


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妻小壁が入ったヨ!の図。

一方にはコンパネと防水紙を貼りましたが、こちらの面は後日に持ち越し。手持ちの参考書は切り妻屋根が主だもので、片流れ屋根の構造について詳細な説明が無く、妻小壁の拵えをどうしたものか...と。幾度も図面に起こしては書き直し、上に乗る垂木との兼ね合いなども含めて、色々と自分なりに考えた末の妻小壁です。本当はちゃんとした決まりごとが在るのだと思いますが、この小屋の構造的には問題無いので、是で良しとします。


端材で拵えたやっつけ冶具、表と裏。

角度をつけるための冶具を端材で拵えました。これを材料の端に合わせて当てがえば、簡単に角度がつけられる上、丸鋸でカットする際には、裏に渡した細材を材料の上へひっかけて、ガイドとしても使えます。こんな簡単なものですが、結構役に立ちました。

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