|猫随想|
俳優の加藤剛氏が、猫についてのエッセイの中でこんな風に綴って居る。
生きものと共にあるということは小さな人生が傍らにあるということでしょう。彼等は持ち時間を黙って通り抜ける優しい旅人の作法を心得ていて、足早に人間の生活の中をつつましく歩き、人よりも急いで老い、去ってゆきます。
そう。
人間の鈍さに対して彼らはいつも寛容であり、
もの云わずともその目で、尻尾で、多くを語り、
物事だけならず、内側の機微をも感じ取り、
我々の数倍の速さで歳を重ねてゆく。
心優しく、思慮深く、物静かな、
香箱を組んだ”ボワイヤン(見者)”たちよ。
そして、君たちも又。