双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

雑感

|雑記|


■ここのところずっと、ドキュメンタリと云えば、太平洋戦争関連の番組。映画と云えば、第二次世界大戦は独逸モノばかりを観て居るよな気がしてきた。その所為なのか。ぼんやりして居ると、瞼の裏に、ゲートル巻いて背嚢担いだ兵隊さんだの、国防軍のオーバーコート着た素敵小父様の姿がちらついて、いけない。


■母方の祖父は、工業用鋸の技師として満州に渡ったが、優秀な技術者であったため、戦には駆り出されずに済んだ。引き上げ後は暫く、大阪は大正区の長屋に住まって居た。父方の祖父は陸軍兵として、満州とトラック島へ渡ったと云うことだが、どうやら炊事兵だか衛生兵であったため、命拾いをしたらしい。古いアルバムに幾つか、当時の写真が残って居る。
二人の口から私が戦争の話を聞いた記憶は、あまり多くは無い。今なら語ってくれたろか。墓前に、ふと想う。


■お盆も終わりの頃になると、墓地は静かで良い。線香を供えた後、縁石に腰掛けて煙草を巻いていたら、黒々とした雲が真上にやってきて、ゴロゴロ云い出した。ついさっきまで晴れて居たのに。も少しゆっくりしたかったけれど、傘を持たずに出てきてしまったので、雨に降られる前にお暇する。道路へ出るまでの森の道に、諦めの羽音をたてながら、蝉が幾つもひっくり返って居た。

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