双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

終いの一日

|徒然|

本日が仕事納め。時折霙を含んだ雨は
朝から続いて居て、足元が温まらない。
ひとつ山の向こうは、恐らく雪なのだろ。
重たく白くけぶった姿。寒々しい。
今年最後の店内を、そっと見渡すと、
昨日には仕事を納めたと思しき人々が、
其々の安堵の顔をして過ごして居る。
日々の煩いを背負ってドアを開けても、
ここで過ごす僅かな間だけは、何処かへ
忘れ置いて、心穏やかに在って欲しい。
確かに、続けることの厳しさは年毎に増し、
先の見えぬ不安やら世知辛さに足掻き、
折角掌に掴んだ筈のものを、不意に
呆気なく見失ってしまうことも在る。
けれど、昨日と今日とは違って居る。
明日は明日の風が吹くのだ。だから、
項垂れも在れば、ささやかな喜びも在る。
こうして一年一年を繰り返しながら。
同じよな毎日を繰り返しながら。
ふと気付けば、仕事が生きるための手段
としてだけでなく、既に人生の一部と
なって居た。そして今、思うのは
「どうあるべきか」 なのではなくて、
「どうありたいか」 なのだと云うこと。


|音|


Gideon Gaye

Gideon Gaye

一年の終わりが近付くと、是を聴く。

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