2010-11-24 晩秋に |日々| 昼に拵えた、揚げだし豆腐のみぞれ煮。 柄の取れた雪平の中に、出汁を温める。 おろした大根を加え、火を止めたところへ、 柚子を刻んで是をさっと放てば、すうと 細く立ちのぼる、清々しいふくよかな香り。 台所に居て、こうして鍋を覗きながら、 ゆっくりと。じんわりと。 棘ばった心がほどけてゆく。 そう。季節を只そっと留めようとしても、 余計な煩い事ばかりが邪魔をして、 平らな、穏やかな心持ちになれずに居た。 椀によそって、両の掌で包む。 秋もじきに、終わる。