双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

先生の偉かった一週間

|小僧先生|


母君が流感から回復して、未だ間も無し
である故、小僧先生の幼稚園のお迎えを
仰せつかる。先生自身も、風邪っぴきで
体調を崩され、ほぼ一週間ぶりの通園。
ハンバーグが食べたいと仰るので、道中、
馴染みの店にて昼食をご一緒した後、
まわり道などしながら、ゆっくりと帰宅。
久々の幼稚園でお疲れなのか、茶の間へ
ごろり横になり、少々虚ろなご様子だ。
大層気の毒なことに、先生はここ一週間程、
母君とほぼ隔離状態。二階家の上と下で、
母子共にろくろく顔を合わせることが叶わぬ
状況下に在り、玄関の障子越しに文や会話を
取り交わす様など、何とも切ないものである。
そんな訳だから、色々と先生なりの我慢を
してらしたようで、我が身を如何にして良い
やら分からずに、癇癪やら我侭やら。感情の
起伏めまぐるしいのに加え、風邪の所為か。
目の下も、些か落ち窪んでしまって居る。


「先生。今日までよく我慢なさいました。
大変に偉いことですよ。でも明日からは、
お母様といつもの暮らしに戻れますからね。」


「うむ。私はとても頑張ったのだ。」


もぐり込んだ寝袋の下で、先生が小さく呟いた。

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