双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

老婆心と編み針

|雑記|

すっかり日の暮れるのも早くなって、午後の西日
の塩梅に秋の到来を確認するも、相変わらず
道ゆく子供らは半袖であるし、若い娘らもまた、
素足にサンダル。薄っぺらなパーカーの下に
肩紐で吊ったワンピースなど着て、夏のままだ。
やれやれ。あんたたちは秋を知らんのかね?
単なる老婆心から、心の中で独り言ちてみる。


木箱の中を覗いて、毛糸の在庫を確認する。
カーディガンの分は新たに買わねばならぬが、
他は様子を見ながら、去年からの持ち越しに
幾らか足せば良いか。編み針は一つ一つを
布切れで拭きながら確認し、手入れして再び
元の場所へ仕舞う。8号の4本針の不足して
居るのを、適当に誤魔化して今まで過ごして
来たのだが、今年はいよいよ買わねばなるまい。
毛糸屋の婆様は達者にして居るだろか。
薄く翳った、月明かりの夜。

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