双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

思い立ったら

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是だったかなぁ。否、違う気もするなぁ。
半分訝しがりつつも、巻末に包丁の砥ぎ方を見付けたので、
先ずは手始めにペティナイフから、倣ってやってみる。
砥石を桶に沈めて充分に水を含ませた後、手拭いの上へ。
十円玉三枚分を、このくらいと頭に浮かべながら、些か
ぎこちない手付きでしゃこしゃことやる。表、刃先、裏。
途中で水を打ちながら、順番に。要領を得て、二丁三丁と。
出刃も含めて全部で五丁。仄かに青みを帯びて輝く刃が、
実にしゃきっと気持ち良い。一仕事終えて、他の頁を何気無く
探って居たところ、うっかり。フライパンの手入れ云々などと、
目にしたが最後。程無く台所に、ガリガリゴシゴシ始めてしまった。
性分故、一旦是が始まってしまうと、なかなか止められなくて困る。
中華鍋と鉄のフライパンとの永い格闘を終え、ふうと一息つくと、
こそげ落とした煤の塊が、流しの縁に、いじけて散らばって居た。
真っ黒い金束子を放った手首が、ずんと重く鈍る。疲れた。
でも、すっきり。清々しい。

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