双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

愚か者が世界を壊す

|雑記|


薄曇りの天気の中に、時折の雨が混じり、
空の色と空気とお客さんと。緩やかに穏やかに
溶け合った日曜日は、静かに午後を刻む。
筈だったのにな・・・。
途中までは・・・。


何かと難癖をつけたり、理不尽な非礼を働く輩には、ざっと大きく分けて、二種類が在るよに想う。一つ目は、初めから悪意が在って、ただ単に己のストレスのはけ口として、そう云う行動に出る者。或いは、何らかの精神疾患が原因の者。二つ目は、それが何らおかしいとは考えず、したがって悪びれもせずに、至極当たり前のこととして行動に出る者。
勿論、何れの場合にせよ、気持ちの良い筈など無いのだが、前者の場合は、心を病んだ人たちである場合が多く、それ故に呆れる一方で、気の毒であるなぁ。と云う、同情を含まぬ憐れさを感じることは、たまに在る。ところが後者となると、至って正常なのであって、単に人間性と云うのか。とり付く島も無いばかりか、そうやってずっと生きてきてしまって居るので、実に質が悪いとしか云い様が無い。
日曜のまどろみに包まれた店内に、二人の愚か者が放り込まれたのは、遅い昼の頃であった。この夫婦者。入って来た瞬間から、既に嫌な空気をもやもやと孕んでは居たのだけれど、注文の品を全て運び終えると、案の定Aちゃんが、浮かぬ顔つきで戻って来る。何かあったの?と訊ねると、夫の方が、注文したドライタイプの炭酸飲料が、どうにも辛くて飲めぬ、と云って聞かぬらしい。ちなみに、この飲料が比較的辛いと云うのは、誰もが周知の事実である。にも拘らず、ここからが愚か者が愚かたる所以。予め品書きに「辛い」ですよ、と書かぬお前が悪い。不親切にも程が在る。したがって、これは全てお前の「ミス」であるから、これに金を払うつもりは毛頭無い。代わりにさっさと、別のものを持って来い。と。ちなみにこれは、夫当人の弁では無くて、物凄い三角吊り目の形相の、妻の言葉。さすがにAちゃんも、こちらの云い分だけは毅然として伝えたものの、何せ、我らの言葉を理解せぬ相手。云うだけ無駄かと、かえって虚しくなってしまったらしい。
そもそも。「ミス」と云うのは、例えば二つと頼んだところを、誤って三つ作ってしまっただとか、全く別のものを作ってしまっただとか。そう云う場合に云うのであって、端から何もして居ないのを 「ミス」 とは云わぬ。
兎にも角にも。二人とも一応は、成人した大人である。年端もゆかぬ子供じゃあるまいし、そのよな愚行はかえって自分たちの無知を、声高に叫んで居るよなもの。愚行を愚行と想わぬからこそ、愚か者である訳だが・・・。
そんなこんなで、それまでは実に良い塩梅であった筈の、日曜日の和やかな調和は、たった二人の愚か者の、たった一踏みで、ガラガラガラ。音をたてて壊れてしまった。しかも悪いことに、この手の煩いと云うものは一旦もたらされると、それが去った後であっても、負の余韻がずるり尾を引くものである。嗚呼、折角の日曜日が台無し・・・。


いい加減、こんなことに慣れなくてはなぁ、と想う。
でも、慣れない方が良いのかなぁ、とも想う。
こう云う事柄に、すっかり慣れてしまって、
何も感じなくなるのは、結局のところ、
心を鈍らせてしまうこと、なのではなかろか、と。
それよりも。
日々のささやか、小さきことに気付けるのなら、
たまの煩いも仕方無い。
心が錆びるよりは、ずっとマシ。か・・・。
サッカーでも観て、寝よ。

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