双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

再びの501

|モノ| |雑記|


先月のと或る日。
同業者のKさんから電話で「古着、要る?」
Kさんは十数年前まで、自身の店の一階で古着屋も営んで居たのだが
事情が在って古着屋は閉店。その当時の在庫が未だ少し残って居り、
物置の中を片付けたいので、何か欲しいものが在れば、と云う。
501の大き目の!32インチくらいの!とリクエスト。

それからひと月の程経った、本日午後。
Kさんがごそっと袋を抱えてやって来た。
「遅くなったけど501。他にも置いてくから要らないのは処分して」
薄いグレーのカーハートのペインターパンツと、
ビッグマックのオーバーオールは、ブカブカのオーバーサイズ。
リーのカラーデニムは、レンガ色のゆったりストレート。
そして、リーバイス501の32インチ。


若い頃は、殆ど毎日のよに501を穿いて居た。
ぶかぶかのをロールアップして、靴下が見えるよにして、
足元はDr.マーチンだったり、コンバースだったり。
原宿の古着屋を数件まわって、501ばかり吊るした安いラックから
良い塩梅のを、納得できるまでしぶとく探したものだったな。
必ず行く店が幾つか在ったが、今はもう、どの店も無い。
そう云えば、いつから501を穿かなくなったのか。
あんなに制服みたいに、毎日穿いて居た筈だのに。

なんてことを、何故だか春先に思い出して、懐かしくなって、
以来、折に触れ、501のことなど種々考えて居たら、
それが面白いことに、するするっとKさんからの電話へ繋がって、
こうして我が手元にやって来た (他の仲間も、ぞろぞろ引き連れて)。*1



時世は混沌と濁流の只中に在れども、
些細であれ。ささやかであれ。
何かしらの心嬉しい出来事は、ふと訪れる。
そう云う気持ちを忘れなければ、荒まずに居られる気がする。
久々に501を穿いて、今日は実に軽やかな一日であった。

夜、緊急事態宣言が全国に向けて拡大された。









 

*1:前日の”どさくさ棚ぼた”と云い、このご褒美続きよ(笑)。

<