双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

息をつく

|縷々|


ここのところ、ずっとハイペースな具合で日々が廻って居て、
それはそれで実に結構なことであり、不満も何も無いのだけれど、
でも、ちょっとだけふうっと息をつきたい気もするなぁ...
などと、虫のいい考えが湧きあがったところへ、
絶妙にぽかんと暇がやってきて、
ふむ、良いのだか悪いのだか。
意図せず、良い塩梅にひと休みが叶ったのであった。

今にも降り出しそな、湿り気を含んだ曇天の午後。
小さな贈り物へ添える言葉を一筆箋に書き終えて、
串団子をひとつ頬張り、久々の穏やかな心持ちになった。
身近な人が、間も無く新しい旅へ出ようとして居る。
長い間かかって自分の足に合う靴を見付けて、
今まで大切にあたためて、育ててきたものを形にして、
ようやっと新しい扉を開けて、踏み出そうとして居る。
私はただ見守るだけだけれど、心から門出を祝いたい。
これからの道の先に、どうか幸多からんことを願って。

常に付きまとう違和感だとか、居心地の悪さだとか。
効率や要領が悪かったり、器用に振舞えなかったり。
世の中の大きな流れから離れても、渦の外側に在っても良いのだ。
時間がかかっても、地道に愚直に続けてゆくことで、
意志は必ず形になる。そしてそこには必ず灯火が灯って、
灯火は同じよに彷徨う人たちを、暗い道で導くだろう。
もしかするとそれは、そうあってほしいと云う
ただの願いでしかないのかも知れないけれど。

到来物の葡萄をつまんで口へ放り、もぐもぐ味わう。
冷やした果物を好む人は多いが、私は常温が好きだな。

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