|徒然|
想えば、昔からずっとそうだった。
気立てが荒っぽくて、粗雑でがさつで。
不精のくせに、おかしなところで意固地で。
女の子らしいのが苦手で、*1独立心だけはいっぱしで。
口が悪くて、皮肉屋で、小賢しい。所謂、鬼っ子が
可愛気の欠片も持たぬまま、こうして大人になった。
幸いに、人から嫌われると云うのは殆ど無いけれど、
気落ちしたところで心配されただとか、優しい言葉で
いたわられただとか云うのも、何だか記憶に乏しい。
恐らくは皆、普段の言動だの振舞いなどから推測して、
この人は大丈夫なのだ。そんな風に想うのであろうな。*2
どちらかと云えば、圧倒的に頼られる側に居ることが多く、
それ故、相談事だとか愚痴だとかは、大概が聞き手にまわる。
別段、静かに相槌を打ち、穏やかに聞く一方と云う訳でも無し。
元来が気の短いのに加え、辛辣にものを云う質なものだから、
考えてみればそもそもが、こうした役目には向かない筈なのだが、
どうした訳だかそうなってしまうから、困る。
それでこちらが、かえって苛々としたり、要らぬ煩いの蓄積を
増やしたりするのは、実に損な役回りであるなぁ、と常々想うも、
やれ仕方が無い、やれ仕様が無い、と諦めた。
最後に貧乏籤を引くのにも、いい加減、慣れた。
はて。可愛気とは、どうして身に付くものだろか。
三つ子の魂云々に従うのなら、この歳まで身に付かずに居った
ものはどのみち。この先も身に付かぬままであろうて。
寂しいか。否々、ちいとも寂しくなど無いぞ。
嗚呼、成る程。
こう云うのが 「可愛気が無い」 と云うことなのだなぁ。