双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

四十路の履物考:Dr.マーチン篇

|モノ|


私の人生初Dr.マーチンは高校一年の頃。鉄板入り3-eyeのチェリーレッド、所謂「おでこ靴」である。バイトで貯めたお金を握りしめ、当時の田舎のトンガリキッズ(笑)たち御用達の店で買い求めたのだけれども、それから十数年の長きに渡り、もういい加減ボロボロになって革が擦り切れるまで履き続けた末、ようやっと天寿を全うし御役御免となった。二足目のマーチンは10-eyeで二十一の頃。生まれて初めてロンドンを訪れた際に買い求めた品で「初めてロンドンへ行ったら、絶対にマーチンのブーツ買う!」と云う、予てからの夢を叶えた訳だ。
場所は確かカムデンだったよに記憶して居る。物凄くドキドキしながら入った靴屋で、両腕に入れ墨の入ったスキンヘッドの兄さんが、見掛けに依らず親切丁寧(笑)だったことや、ブーツ選びは勿論、格好良い紐の掛け方やら結び方やら、色々と教えてくれたこと。嬉しくて仕方が無くって、そのままブーツを履いて店を出たこと。兄さんがサービスで簡素な中敷きを入れてくれたおかげで、滞在中もずっと快適に過ごすことができたこと等々…。
マーチンにまつわる懐かしい記憶を手繰り寄せてみれば、我々世代にとってのDr.マーチンと云う靴は、単なる靴と云うだけじゃない。何かしら特別な思い入れのあるものなのだなぁ、と今になって改めて感じ入る。だからかな。最近、長屋のご近所さんがマーチンを新調なさったと知ったときも、人様の事ながら妙に嬉しかった。

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