双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

おかえり。ただいま。

|日々|

二週間のぽっかりの空白を挟んで、今日。
ようやく店を開けた。以前と変わらないよで、
けれど何かの欠けている、同じ場所。
今、店を開けたところで、売り上げなんか
望めはしないのだけれど、それでも良い。
入るか入らないかは、重要じゃない。
こうして徐々に、段々に。一つずつ。
街に灯の戻ることが大切なのだ、と思う。
そうやって、灯が戻って、皆の生活も戻ってゆく。
”戻る” ことは、必ずしも ”元通り” と云うのじゃなくて。
空白の、何処か遠くへ離れてしまって居た
心の在り処に、ようやく心が帰ってくるよな。
きっと、そんな風なもの。
おかえり。ただいま。そんな風なもの。


誰も来なくとも、誰かが来ても。
こうして久しぶりに私は店に居て、
嗚呼。戻ってきたのだなぁ、と思う。
たったの二週間だのに、何だかひどく永かったよな
おかしな心地がして、懐かしさでいっぱいになって。
ここは確かに私の店なんだなぁ、と思う。
ゆっくり静かに湧き上がる 「戻る」 を、
ただ。じんわりとしみじみと、感じ入る。
おかえり。ただいま。

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