双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

蔓延中

|雑記|

madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン) 2009年 6/5号 [雑誌]
以前にも触れたが、若い頃の父は山男だった。
今では随分と山から離れた暮らしとなってしまったが、私も山へ登るし*1、弟も登る。だからと云う訳でも無いが、山登りを軽々しく想ったことは無い。
それが近頃。こじゃれた女性誌などに ” ちょこっとアウトドア” だの ” おしゃれアウトドア”。はたまた ” ゆるっとアウトドア” などと云う、不可解な文字を目にする機会が多く、何やら訝しく想うのと同時に、うすうすと違和感を覚えて居たのだけれど、数ヶ月前の 『フィガロ』 などはもう完全に、山を愛する人々をおちょくった内容だった。何しろ、彼らの提唱する ”フィガロ流アウトドア・スタイル” と云うのが、また不可解である。
フォークロアなアクセサリをじゃらじゃらと首からぶら下げたり、果ては頭に腰に巻き付けたり。(もしかして、熊避け?蛇避け?と深読み)「ハードな山道だって突然の悪天候だって。信頼できるウエアに包まれているから安心。」 と云いながらも、何故かモデルは太腿も露なショートパンツで(勿論、素足よ)、頭には何故かミンクの毛(鳥の羽付き)を巻いて居る。そんな格好で山を登れるのなら、ええ。是非登って下さいよ…。テントの中も何やらごちゃごちゃと、パッキング完全無視のガーリーな雑貨類で飾り付けられて、是また不可解極まりなく(万国旗みたいな切り絵がぶら下がって居るんだよぅ。)、「キャンプのための荷物は、軽量かつシンプルにまとめたい」 筈だのに、やれ手作りのランタン だ、やれエスプレッソマシーンだと、ザックに ”忍ばせる” にしちゃ、また随分と…。あ、成る程ね。ザックの中は四次元ポケットみたいになって居るから、容量も全く問題にはならず、幾ら詰めても重くなったりしないのね。そいつは凄いや。え〜、ちなみに。普通に装備して一人でも山へ登るよな ”女子” のことを ” 本気登山派” と呼ぶそうですヨ〜。
嗚呼、もういい加減にしてくれんかな。そもそも、山登りに ” ゆるい”も” かわいい”も” おしゃれ” も無かろうがよ。*2どうしても、そんなにおしゃれにアウトドアしたいのなら、とりあえず 『八甲田山』 でも観て下さい(笑)。



ku:nel (クウネル) 2009年 11月号 [雑誌]

ku:nel (クウネル) 2009年 11月号 [雑誌]

お宅もですかい。
アウトドア服はあくまで街着、ってさぁ…。
つまりこの場合のパタゴニアは、見せびらかし用なのね。




富士山や茶臼岳と云った山にも、まるきりの普段着にスニーカーの軽装で入山してゆく、或る意味で猛者な人を多々見掛けると聞いたし*3、某山岳雑誌の編集部にも、近頃は 「あの〜、初心者なんですけど、剱岳って登れますよね?」 と云った手合いの問い合わせ*4が在ると云うから、これはやはり、新型のウィルスか何かが密かに蔓延して、人々の脳に深刻な被害を及ぼして居るのかも知れない。

*1:昭和の少女時代を、ガールスカウトの硬派な野外活動でビシバシ鍛えられたのだ。

*2:そう云や、いつだかの 『Spoon.』 の特集でも 「おしゃれバックパッカー」 と云うのが在って、想わず凍りついたが。

*3:弟は富士でサンダル履きの猛者を見たと云って居たヨ…。

*4:「ええ。死にますよ。」 とか何とか答えるらしい(苦笑)。

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