双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

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靴下考

|モノ| 近頃は、靴下を履かぬ人が多い。 この寒い時期、素足にパンプスなど、 とてもではないが真似できない、と想う。 私は一年を通して、靴下を履かないと云うことが 先ず無い上、靴下にはちいとうるさい質なので、 靴下であれば何でも良い、と云う風にはゆかない。 丈は必ず長めで、ふくらはぎの中程までのを ざっくりさせて履くから、在る程度の緩みが 無ければいけない。履き口も緩めのもの。 リブの場合には、編地は太めのが良い。 勿論、季節ごとに素材や風合いは異なるが、 何れの季節も、化繊…

羊の季節

|モノ| 寝台の夜具に、毛布は未だ加わって居ないけれど、 掛け布団の上に、大判の膝掛けを一枚だけ。 毛織のあれこれ。湯たんぽ。毛糸。 編み物。登山用の靴下。 毛玉のついたカーディガン。 ネルの寝巻き。就寝前のカミツレのお茶。 膝の上の猫。朝の冷たい空気。 束の間の日だまりの匂い。薄い空色。 部屋で過ごす夜の時間。朝の仕度。 秋と冬を取り巻くものたちは、静かにゆっくりと、 内側へ内側へ向かってゆくものたち。 華やかな春とも、夏の開けっぴろげとも違う。 何処か内省的で、ひっそりし…

手持ち無沙汰

|モノ| 少し前の出先で、瀟洒な雑貨店へ立ち寄った折、 香りのついたろうそくを二つ、買い求めた。 クチナシのと、ユーカリとハッカのと。 店に足を踏みいれると、香りはふんわりと満ち、 するすると引き寄せられるよにして、辿り着いた ろうそくの棚の前に、暫し佇んで居たのだった。 冬支度の整った部屋で、クチナシに火を灯す。 あたたかな橙色のゆらぎは、仄かに香った。 夜長の手元に毛糸玉の無いのが、何とも寂しく、 早く届かぬものかと、洗濯物を畳みながら 首の後ろの辺りに、そっと掌をやる。…

三十路の箪笥の中身考

|雑記| |モノ| 三十路を過ぎると、それまでとは似合う服が変わってくると云うのを、身をもって感じやしないだろか。ことTシャツの類がそうで、若い頃に好んで着て居た比較的襟のつまったクルーネックに、微妙な違和感を覚えるよになる。何が変わったのか。顔つきか。体型か。 三十路を過ぎたとは云っても、たかだか数年のうちに、二十代の頃と比べて、何かが劇的に変わったと云うよな自覚は特に無いのだけれど、実際に着てみれば、何やらしっくりせぬのは事実で、ジーンズにしてもシャツにしても、形や色など…

モンペ娘とべっぴんさん

|モノ| 先日の鎌倉散策の折に買い求めた、湯呑茶碗で白湯を飲む。 寒さが日に日に厳しくなって、体を冷やすまいと、 連日のよにガブガブ、お茶を飲みすぎたせいだろか。 胃液が薄まったのか、どうも胃の具合が芳しく無く、 なるたけ負担の少ない白湯ならば、と思った訳なのだが、 磁器の湯呑でたまに飲む白湯は、舌にちりりととがり、 何やら、江戸っ子が顔も体も赤くして、やせ我慢して 熱い風呂に浸かって居る風で、当然味も素っ気も無く、 白湯などと云うものは概ねそんなもの、とばかり思って居た。 …

悦楽のビブリオテカ

|モノ| |本| 本にまつわる話題が続いてしまうのだけれど。 かねがね、私の興味を惹きつけて止まぬ ものの中に「蔵書印」 「蔵書票」が在る。*1 どちらにおいても、その本来の役割と云うのは、 本の所有者が誰であるか、を示すための ものだが、その世界は実に奥深く、ただの印 と云う役割だけに留まらない。人其々の思い入れが 凝縮され、それ故、非常に趣味的な要素が強く 云わば、本好きの密かな愉しみの一つ、 或いは、デザインも様々のちいさな作品は 芸術の形の一つ、と呼べるよにも思われる…

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