双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

お嬢のばらと桜の残り

|庭仕事| |雑記|


四月の気紛れな空模様の合間を見て、ばらたちの手入れをする。本来なら休眠期にするべきだったのだろうけれど、今までの鉢では窮屈そうなブラッシュ・ノアゼットを一回り大きな鉢へ鉢替え。その他はそのままに、用土を少し足して堆肥マルチング。
実は昨年、十二月のはじめの頃にバラの新苗を予約注文した。丁寧に誠実にばらを育ててらっしゃる八ヶ岳の農場で、ここから来た苗はどれも健やかに元気に育つ。お願いしてあったのは『ニュードーン』と云う品種。十一月の末に旅立ったお嬢への想いを込めて、お嬢が好きだった緑の植栽の中に迎えよう、と考えたのだ。
つる性で非常に強健、おおらかにのびのび育つ性質と、薄いパールピンクに野バラの香りが魅力的なところなど、何となくお嬢に似て居る気がして選んだのだけれど、それが四月に入って間も無くに届き、早速に六号鉢へ植え付けたところ見る見る育って、備え付けの支柱をすっかり追い越す勢いで伸びて居る。元気だった頃のお嬢みたいに、毎日毎日、しっかりと健やかに伸びやかに。


近くの小学校の前を通りかかると、驚いたことに、今年は四月も半ばになって未だ桜が残って居る。例年よりも開花が遅かったおかげで、いつもなら葉桜の中で行われる筈の入学式まで、盛りを過ぎることなく散らずにもってくれた。気候の変化が著しいここ十年近く、そんな当たり前の光景すら見られなかった気がする。この春の新入学生たちの記憶には、桜満開の校庭の風景がずっと残るのだろな。
葉桜になったばかりの黄緑が目にやわらかく、薄く光を通して揺れて居る。ともするとそのふんわりした印象に、うっかり惑わされがちになるが、ジェットコースターの如き気候の上がり下がり、あまりに極端な寒暖差、春の嵐の暴れっぷりなどを見ると、そうは云ってもやっぱり春は暴力だよな、と思う。

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