双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

散髪、そして坂を登る

|雑記|


こないだの月曜。古森号を駆って一路、散髪へ。
風は冷たいが空はからりと晴れ、自転車で走るには丁度であった。

山手*1から街場へ下りると云うことは、即ち。行きは下り一方でも、
帰りはその逆。登り一方と云うことである。ギャフン。
山手~街場間の最短ルートは、国道をそのまま下って行くものだが、
何しろ車がひっきりなしで危なっかしいため、もっぱら
国道からすぐ裏道へ入って団地内を抜け、急勾配の坂を下り、
田んぼ道を走って再び国道へ入る、と云う安全ルートを使って居る。
ただし、この団地と田んぼ道の間に在る坂が曲者なのだ。

全長凡そ200メートル程。田んぼ道の終わる辺りから始まって、
左右に大きく二回蛇行しながら、団地の入り口の十字路まで。
(坂の終わったその先は、比較的緩やかな上りがずっと続いてゆく。)
距離こそ短いものの、山手へ至る幾つかの坂の中でも勾配は急な方で、
私は未だ嘗て、この団地坂を自転車で登り切れた試しが無く(笑)、
大抵は、端から諦めて押して登るか、或いは遠回りの別ルートを取るか。
今までならば、自転車の帰路では十中八九避ける坂だったが、*2
「いよいよやるかい」とこの日の帰り、登る腹を決めた。
何故ならば、ひと月あまりの筋トレ等の成果。つまり、
長年なまくらであった脚力が、如何程となったかを知るには
この団地坂で試してみるのが、最も手っ取り早かろう、と。

いつもの”ホビ仕様坊ちゃん刈り”は、仕上がり完璧だ。
ぱきっとしゃきっと清々と。気分は上々、古森号も調子が良い。
キツイのは重々承知だが、今なら登り切れる気がする。

立ち漕ぎは止して、めいっぱい軽いギアでゆっくり回しゃ良い。
団地から下りて来る対向車が在るから、左端に寄って走らねば。
登り出しは、うん。良い感じだ。是なら行けるんじゃないか…。

否々。そうそう甘くは無い、よね(笑)。
坂の真ん中のカーブの辺りから、更に勾配が増してくると、
後ろだけでなく前のギアも軽くして、ようやっと進む感じである。
嗚呼、脚が重たい。息が上がる。く、苦しいぃぃ。
苦しいけど、あれ?未だ行ける、って余力が在る気がするぞ。
とか何とか、えっちらおっちら回して居たら。
あと少しじゃない?あともう少し。
ここを踏ん張れば、団地の入り口。坂の終わりじゃ…。

そして遂に。
私ホビは、悲願の団地坂を古森号で登り切ったのであったYO!
後ろから来た軽トラが見えなくなってから、サドルの上で小躍りした(笑)。
いやぁ、とうとう登れたなぁ。
のろのろだったけれど、一度も足着きせずに登り切ったぞ。
刈り上げたばかりの襟足を、幾筋もの汗が伝ってゆく。
キツかった筈だのに、嗚呼。何て清々しく気持ち良いのだろ。
一度登れたら。こりゃあ、ちょくちょく古森号で登らにゃいかんな。
そうやってこつこつ積むうちに、いつかは坂が苦手じゃなくなるのだろ。
坂を登れる脚ができてきて、のろのろからスイスイになるのだろ。

まぁ、急かず慌てず。のんびりやるさ。

*1:我が町で云う「山手(やまて)」とは、所謂「山の手」に在らず。文字通り「山方面の地区」の意である。

*2:フルスロットルのフォルゴーレ号でも途中減速する坂なのだけれど、何せ電気バイクなので仕方が無いのねぇ…。

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