双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

そのまんまで良い

|若旦那| |猫随想|


先週のお小水沙汰エントリ () に「一寸気になる行動が在るには在った」と書いた。
事の起こる二週間程前だったか。いつもは寝ないよな場所で寝てみたり、敷物の端を齧って穴をあけたりするなど、何やらイレギュラーな行動がちらほらと見受けられたものの、恐らくは気圧の変化の所為かしら*1、などと思って居たのだが、或るとき。己の尻尾を忙しなく振りながら後足の間へがっちりと挟み、更に前足で抑え込むや、先端を執拗に舐め始める、と云う奇行に出た。是がもう一心不乱と云うか、こちらの呼びかけにも全く応じず、兎に角、一旦スイッチが入ってしまうと、まるで何かに取り憑かれたみたいだもので、こりゃさすがにおかしいぞ、と。

心配になって、フラワーレメディなど投与しながら様子見。徐々に頻度が減って来て、一週間程度ですっかり止んだため、やれやれと安堵して居たのであるが、思えばこれらのイレギュラーな行動が、今回のお小水沙汰の予兆だったのか。ただし、果たしてストレスを引き起こした原因が何であったのかについては、幾ら考えても全く思い当たる節が無い。まぁ、我々人間は鈍くて感じ取れなくとも、猫にしか分からぬ何かが在ったのであろうな。


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今日は雨降りだけれど「グランピーちゃん」にならずに、すやすや眠り猫。

そもそも若旦那はスーパーセンシティヴと云うか、勘が異常に強いと云うか。兎に角、我々には計り知れぬ、理解を超えたところが多々と在り*2、所謂”常識”や”一般論”と云うものが、まるで通用しない猫である。生い立ちにせよ、乳離れするかしないかで母猫を失い、兄弟猫らは其々カラスに食われたり、車に轢かれたり、餓死したり…と云う過酷な状況の中、ぎりぎりのところで救出された、只唯一の生き残りである。そのときの壮絶なトラウマみたいなものが、本人は忘れてしまったとしても、意識下の深いところへ消えない傷跡のよになってへばり付いて居るのであろう。食べ物に対する度を越した執着や、異食症の問題などは、まさにその最たるものかと思うし、又異常に繊細であるが故に、普通であればさして気にならぬよなことも、否応無く敏感に感じ取ってしまうため、それが大きなストレスとなって体に波及。そうして最も弱い部分 (泌尿器) が被害を被る。

しかも本人は、どうやら是に無自覚である風で、自分でもどうして良いやら。何が何やら分からぬうちに、あれよあれよと謎の不調へ転がって行ってしまうのが、何とも気の毒で仕方が無いのだけれども、まぁハンスト沙汰にしろゲーゲー沙汰にしろ、概ねそう云うことなのだと、主の私は考えて居る。只、こうした若旦那の「特殊性」を他人に理解して貰うのは、かなり困難なことである。たといそれがお医者であれ、だ。掛かり付けの先生は、一般的に見れば非常に良心的な先生かと思うけれど、若旦那の特殊性に対しては、毎度毎度「うーん」と頭を抱えてしまうのである。*3

一度は私なりに説明を試みたことも在ったけれど、案の定「???」と怪訝な顔をなさり、以来この手の余計な情報は伝えないと決めた。恐らく我々は「何だか面倒くさい猫と飼い主」みたいな感じになって居るだろな(笑)。まぁ、齟齬と云うか相性と云うか。この辺りについてはすっぱりと割り切り、お医者にしかできぬことをお医者にして貰い、それ以外のことは可能な限り主が全責任を持ってやるべし、と考えるよにして居る次第。


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若旦那の特殊性は只の個性であって、若旦那を若旦那たらしめるもの。
決して面倒くさくなんかないよ。そのまんまで良いんだよ。

*1:拙宅では是を「グランピーちゃん」と呼ぶ。

*2:タイプこそ違うものの、忍びちゃんも又同様で、共感能力が高過ぎる故に、相手の体調や心境と同化してしまう。

*3:例えば、手作り食や漢方についても気兼ね無く相談できたり、話し合ったりできるよな、ホリスティックなお医者が身近に在れば理想的なのだけれどね…。

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