双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

若旦那の場合

|若旦那|


この度の若旦那のお小水問題は、ほぼ四年前と同じ。膀胱内のストルバイト結晶粒同士がくっついて、小さな塊となったものが、尿道の途中で閉塞を起こして居た。カテーテルによる結晶の除去と膀胱洗浄、静脈点滴などを処置され、一晩入院の後、六日分の抗生剤など一緒に、療法食の”ロイヤルカナン phコントロール”を処方されて帰って来た次第。



退院翌日の若旦那。少量を頻回ではあるが排尿復活。(包帯は留置針)


尚、若旦那の尿道はどうやら、先端から少し入った辺りで一部がきゅっと細くなって居るらしく、故にこうした症状が生じた場合、炎症によって更に細くなるため、そこで詰まってしまうのでは?とのことであった。前回も同様の話は在ったものの、カテーテルによる処置の際に傷が付いたか何かして、粘膜が腫れて居るのだろう。炎症が治まれば元に戻るだろう、との話であったのだが、今回の件で、元々そうであった可能性が高いと指摘された訳だ。やれ、参ったなぁ。けれど、そう云う風に備わってしまったのだから、是ばかりは仕方があるまいよ。


ストルバイトの結晶は強いアルカリ尿の中で形成される。尿のphは酸性とアルカリ性とが一日の中で変動するものなので、たとい正常な尿内であっても結晶が存在することは、決して珍しいことではないが、心身共に健やかな状態であれば、自然に排出されたり消滅したりするので問題にならぬ場合が殆どであっても、何らかの理由で恒常性のバランスが崩れれば、疾患に至る訳である。ホリスティックの医療書によると、下部尿路の疾患には、食餌の内容以外に精神的な要因も大きく働くと云われて居り、精神的な苦痛やショックなど。何かしらのストレスが生じると、それを受けた免疫力が低下し、膀胱内の環境が悪化することで感染症を引き起こし、それが更に悪化して結石の生成などに繋がる、と。つまり泌尿器に限らず、何れの場合であっても、心身や習慣、環境などの総合的なバランス、恒常性の崩れから生じ、そこからマイナスに発展した結果であって、何か一つの事柄だけに原因が在る訳ではないのだろう。
精神的ストレスが何処に出易いかは、各々に異なる。胃に出る者。腸に出る者。耳や皮膚に出る者も在れば、こうして膀胱に出る者も在る。是は動物であっても人であっても同様かと思う。因みに若旦那のメンタルは、さしずめ絹ごし豆腐である(笑)。実のところ、今回若旦那にダメージを与えたであろう出来事については、はっきりと見当がついて居た。拙宅の近所のと或るアンチ・ソーシャルな一家による、数々の迷惑行為。中でもとりわけ一家のアホ長男とそのアホ仲間による、夜間のイリーガルな改造バイク騒音問題が、我々近隣住民の平穏な生活を脅かして居るのだけれども、まさしく是こそが、若旦那の豆腐メンタルを直撃したものと思われる。
夜な夜な繰り返される改造バイクの爆音に、デリケエトな絹ごし豆腐メンタルがダメージを受け、そのストレスは体の機能へと波及し、免疫力や抵抗力が低下。最終的に最も弱い部分である膀胱が攻撃にさらされ、膀胱内の尿のphが急激にアルカリに傾き、細菌が繁殖し、突発性膀胱炎を発症。あっと云う間に悪化して結晶塊を生成し、それが運悪く尿道の件の細い所で詰まってしまった、と。こんなところであろう。
退院から三日。適切な処置により膀胱内の結晶はしっかり取り除けたので、後は排尿が正常に戻るのを見守るばかりである。止血及び消炎剤と抗生剤の服用で不快感も和らいだのか、初めのうちこそ少量を頻回だったのが、徐々にではあるが順調に回復しつつある風。是から寒くなってくることだし、しっかりと養生せねばな。

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