双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

四十路の履物考・反省篇

|モノ|


仕事用靴の踵の内側が破れて途方に暮れた。KEENのトレッキング靴で、色違えで二足在るのだけれども、はじめは一足だけであったのが、とうとう残る一方も破れてしまったのである。この手の靴は通気性の点から、内側にメッシュ生地を使用して居るため、それが仇となったのだろ。踵以外の他の部分は何処も痛んで居らず、まだまだ長く履ける状態と云うのになぁ。仕方が無いので、黒の粘着テープを貼って急場を凌いで居たのだが、みっともないことこの上無く、当然こんな状態で良い筈が無い訳で、嗚呼どうしたものか…。
しかしながら、世の中には同じよな悩みを抱える人が少なくないのであろう。
こんな便利グッズを発見した。

商品名は兎も角として(笑)、是は実に上手い商品だ*1。事前に破れは縫い合わせ、最も酷い部分には更にフェルトを貼って補強し、下地を整えておいた。本品(接着テープ付き)を補修箇所の大きさに合わせてカット、強度が心配なので念のため布用ボンドも使用して、慎重に貼り付け無事補修完了。やれやれ、踵問題は是にて一件落着である。


しかし。この件がきっかけで見過ごせぬ事態が明るみとなった。実は本品を見付けるまでの数日間、お古のコンバースを緊急出動させるにあたり、久々に下駄箱と靴箱を総ざらいしてみたのだけれども、そのあまりの惨々たる状態に愕然となったのである。
塵や埃は云わずもがな。革靴のカビも其処彼処。すっかり存在を忘れて居た安物の婦人靴は、経年劣化からもはや再起不能。祖母のお下がりの草履類も、ビニル素材のものはやはり劣化が酷い。思えば私ももう、四十路半ば。何となく勢いで買ってそのままの安靴やら、あまりに草臥れ過ぎた靴やら、手入れを怠った気の毒な革靴やら…。今の今まで見て見ぬふりをして来たけれど、ここいらできちんと”四十路の靴”の在り方と向き合わねばならぬだろう、と。安物、劣化の激しい物、もう二度と履かぬであろうハイヒール。草臥れスニーカーなど、計六足を躊躇なく処分し、嗚呼すっきり。が、ここからが本筋で課題山積なのである。
処分が済んだら、残った履物の状態を点検する。礼装用の草履、下駄、踝丈の山靴などは概ね問題無し。革靴の類も概ね無事ではあったものの、案の定、本格的な手入れが必要な状態であった。ただし、その内のオーロラシューズ二足は手入れ云々以前に、大掛かりな修理を必要とする状態なのを知りつつ、長く放置して居たのだ。と云うのも、数年前に不幸にも若旦那の趣味の一つ”ウレタン素材&靴底豪快齧り”の餌食となった末、靴底のビブラムソールが見るも無残なボロボロ状態に…。市販の補修材で応急処置を試みるも、所詮は気休め程度。販売店では修理を受け付けて居らず、そうなるとアメリカへ送るだとか、そう云う気の遠くなる話になっちゃうのかしら…などと諦め半分に靴箱へ仕舞い、結局そのまま三年近くが経過。ううむ、しかしこの機会だ。こいつはいっちょ本腰入れて、修理してくれそな店を探すとするか。善は急げ、でも慎重に。
自ら靴の修理を専門に行う店に絞って探し回った結果、ようやっとオーロラシューズの修理に最も精通して居ると思われ、尚且つ良心的な修理屋を探し出すことができた。とは云え、修理代は一足ならぬ二足分。近年めっきり私事は後回し、己のためにお金を使わなくなってしまった私にとっちゃ、虎の子の財布からの出費となるが、いつまで放っておいたところで靴が勝手に治る訳でなし。ならば思い立った今、潔く修理へ出して、早く生き返らせてあげようじゃないの、と。早速に見積もりを取り、先日郵送にて修理へ出した次第。
さて。残る革靴たち、Dr.マーチンが二足にロークのローファー。諸君には念入りな手入れを施さねば、ね。

*1:メッシュタイプの他、合皮タイプも在り。色も数色から選べる。

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