双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

思うところ

|雑記| |若旦那|


「猫の下部尿路疾患の殆どは、普段のフードが原因である。従って今後はずっと、病院処方の専用療法食だけを与えるべし」
とは犬猫の泌尿器疾患治療の際に、必ずと云って良いほど聞くフレーズだが、多少の差異こそ在れ、何処の動物病院でも同じなのではなかろか。確かに、食事と健康とが密接に繋がって居るのは事実で、異論は無いけれど、しかしながらここで云われる「フード戦犯説」は、そうしたホリスティックな「医食同源」的考えとは全く別の話であって、些か強引に感じられる。ただし前半の部分 「猫の下部尿路疾患の殆どは、普段のフードが原因である」 に関しては、或る意味で正しいとも云えるし、正しくないと云えるかも知れない。


少し補足して正しく云い直すとすれば 「常に出しっぱなし状態にしてある質の悪いフードと、欲しいときにいつでも与える添加物たっぷりのおやつ類が、大きな一因である」 となるだろか。つまり、ここで問題視される”フード”とは、質の悪いバランスの偏ったフード(及びおやつ類)のことと考えれば分かり易い。数々の合成添加物や危険とされる保存料、成長ホルモンや薬品漬けの、不健康な原材料が含まれる質の悪いフードを食べさせること。その結果生じる毒性が泌尿器系に過度の負担を強いることが、主な原因となって疾患を引き起こす、と。
更に、尿中のphは特に食後にアルカリ性へ傾くため、常時フードを出しておいて、いつでも好きなときに食べられるよな環境下では、泌尿器疾患を誘発するアルカリ尿が保たれ易くなってしまう。だから、何か特別な事情でも無い限りは、食餌の時間や回数(おやつも含め)をきちんと管理した上で、適度に運動させたり、ストレスを溜めぬよな環境にも気を配る必要が在る。故に、そうした事柄を全て省略して、只ひとこと「普段のフード」と云うだけではあまりに不十分だと思うのだ。
或る意味で正しくない、と云ったのは ”添加物てんこもりの粗悪なフードや、何かが突出して過剰だったりしてバランスの悪い食餌” の対極。つまり ”合成添加物や有害な保存料などを一切使用せず、安心で健康な原材料から作られた良質のフードや、タンパク質やミネラルなどのバランスが宜しい食餌” を粗悪フードや、極端にバランスの偏った食餌と同列にしてしまう、と云うのは、幾ら何でも無茶が過ぎるよ、と(笑)。
そして、最大の疑問である「今後はずっと、病院処方の専用療法食だけを与えるべし」論。以前にも書いた記憶が在るけれども、基本的に療法食と云うのは、あくまで治療のための”薬入りフード”と考えるべきで、治療が終わった後も、永続的な普段の食餌とすべきものではない筈なのだ。とは云え、飼い主が最も理解し易い原因(=戦犯)としてフードを挙げ、最も簡単な対処として指定の療法食への切り替えを薦めることが、最も無難な選択であろうことは理解できなくもない。栄養学を積極的に学ぶ獣医師は未だ未だ少なく、ペットの食餌内容に無頓着な飼い主の多いのが現実である。こう云った事柄は、大抵が人間側の都合かと思う。
何れにせよ、実に様々なマイナス要素が幾つも重なって心身へ影響を及ぼし、全体のバランスが崩れてしまった結果が疾患である、とするのが自然と考えれば、フードなど何か一つだけを原因とすることに無理が在ると気付くだろう。大切なのは食だけで無く、普段の生活や環境なども含めた習慣の改善なのではなかろか。
若旦那に処方された療法食「ロイヤルカナン phコントロール」(500g)はもうじき無くなるが*1、後ひと月程の間は療法食を続けた方が良いだろう。しかしながら、ロイヤルカナンはあまりにも成分が強力過ぎて不安なので、同じ大手の獣医師系療法食でも、せめてヒルズへ変更するつもり。まぁ、思うところは種々在れど、何とか納得できる線で妥協策を探ってゆこう。

*1:お医者の多くは、どうもロイカナ贔屓の傾向が…(笑)。

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