双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

師走の後日談と怪我の功名

|若旦那| |忍び|


さてさて。謎のハンスト(?)沙汰から一週間と少々が経過し、その後が如何様であったのか?と申せば、まるで何事も無かったかのよな、すこぶる元気もりもりに(笑)。お医者で施された吐き気止めの注射の効力なのか。それともお医者へ行ったと云うこと自体が、或る意味でショック療法となったのかは知らぬが、翌朝になって、先ずは若旦那が自ら茶碗の中のカリカリを三分の一程食べ始め、それを見た忍びちゃんが、若旦那に続いて同じく食べ始め、その後は順調に食欲が戻り、二日後には二匹共すっかり元の様子へ戻ったのであった。嗚呼、良かった。
お医者から処方された薬は四日分であったが、様子を見ながらとのことなので、是は三日目で終いとし、後はなるたけ消化のよい工夫をした食餌を与えたり、薬草のチンキ剤*1を与えるなどして、ホリスティックに養生するに連れ、先に書いた通りの、すこぶる元気もりもりとなった訳である。結局のところ、今回の騒動は、果たして何だったのだろか…?
かかりつけ医は、身体的には特に問題が見当たらない、と繰り返し頭をひねってらしたが、そもそも具合の良し悪しとは、身体的な要因だけで無しに、精神的な要因だって在る筈で、それは犬猫とて同じなのじゃなかろか…なんて小生は考える訳で、しかしながら、先生からそうした話は一切聞かれず、又、強い吐き気止め注射の内容や副作用について訊ねた際には、普段そんな質問をされることがあまり無いのか、些か怪訝そな表情が隠れ見えたもので、もしかすると我々は「一寸面倒くさい患者と飼い主」と思われて居るのかも知れぬな、と感じた次第なのであった(笑)。まあ良い。お医者との相性ってのは、多かれ少なかれ在るだろう。
でもって、今回の顛末を改めて振り返り、あれこれと考えを巡らした末、最終的に主の導き出した推論はこうである。


ここのところ立て続けに、猫飼いの知人らが「ウチの猫は食べムラが激しくて、困っちゃうんだよねぇ」「ものすごく気に入ってたかと思うと、或る日突然にそっぽ向かれたり…」とこぼすのを聞き、その度に、拙宅の猫らは余程のことでも無ければ、大抵は何でも食べてくれるので、そうした悩みや苦労とは全く無縁だ。特に若旦那なんて食欲が毛皮を着て居るよなものだ。などと答えて居たのだけれども、もしかすると「あいつ、またあんなこと云ってやがるぜ?まったく暢気と云うか、僕たちも相当なめられたもんだ。よし。ここはひとつ、一寸ばかし困らせてやろうぜ!」と兄貴格である若旦那が提案。忠実な子分である忍びちゃんは、当然それに従うこととし、先ずは日曜夕刻の”食餌を拒否する”と云う試みを決行。しかしながら、若旦那は(無自覚に)勘の鋭敏な質の猫である。自らの意思とは関係無く、この企てがやがて脳味噌へ影響、波及し、自分でも分からぬうちに、あれれ何やら食欲が…。そして、共感能力の高い忍びちゃんも、もれなく是に同調。様子は確かにおかしいが、それは「自分でも一体何がどうなって居るのか分からない」と云った塩梅で、決して体の何処かが痛そうだとか、苦しそうだとか、しんどそうだと云うのでは無い。
つまり分かり易く例えるなら、ここに持久走の大嫌いな子供が在るとして、持久走大会へ出たくないばかりに「何だかお腹が痛い」と嘘をついて学校をズル休みしようと企てたところ、時間が経つに連れ、本当にお腹が痛くなってきたぞ、と。当然、お医者へ診せたところで、どこにも異常は見付からない訳で、こうした症状を何と呼ぶかは知らねども*2、まぁ兎に角、恐らくはそれと同じよなものじゃなかろかな、と。
そして更に今回の顛末には、怪我の功名がくっついて来た。丸二日と少々、水以外に何も摂取しなかったことが、所謂”断食”となり、その結果、以前に増して健やかで快活、活動的、意欲的になってしまって、あら大変良かった(笑)*3。最近学び始めたホリスティックケアを更に学び進む中で、一日から数日程度の短い断食が、普段酷使して居る臓器を休ませ、体内の解毒や免疫力の向上などに役立つ旨を知り、しかしながら拙宅の坊ちゃんら、特に食いしん坊の若旦那には到底無理な話だわな、と端から考えもしなかったのだけれど、それが意図せずプチ断食となった訳だから、災い転じて福と成すと云うのか、怪我の功名と云うのか。いやはや、まったく。年の瀬を斯様なトホホ沙汰で締めくくろうとは、思いもよらなんだ。

*1:グリセリン抽出のハーブチンキを数種類調合したもの。解毒を促し肝臓や腎臓の働きを助けたり保護したりする、ホビ家オリジナルブレンドだヨ。

*2:昔は、自家中毒なんて呼んで居た記憶が在るけれど…。

*3:特に忍びちゃんの変化は顕著で、食べっぷりも良くなったし、何事にも実に意欲的な取り組みの姿勢で挑んで居る模様(笑)。

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