双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ひととき

|日々|

店内の冷房から逃れて、ふらり、表へ出る。
軒下の椅子に腰掛けて、鼻から大きく吸い込んで、
そうして、口からゆっくり息をはき出し、
程好く心地良い午後の風にあたるうちに、
冷え切ったからだが、ほっとしたのか。
強張って居たのがほどけて、じんわり。
段々に血が巡ってくる。生き返った心地。


薄く曇った空が夏の日差しをゆるやかに遮り、
その下の、山の稜線は靄で乳白色に滲み、
目の前の花台には、剣菱が平たく寝そべる。
只黙ってその中に居て、コーヒーを飲む。
何と穏やかで、ささやかなひとときか。
暫し過ごして、仕事へ戻る。

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