双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

猫ブラシ考

|モノ|


抜け毛の季節である。ヒトではなく、猫の話である。
猫と云うのは被毛の長短に拘わらず、大概が自らまめに毛繕いするものだが、比較的手入れの手間が掛からないとされる、毛足の短い”短毛”の猫であっても、被毛の手入れ。つまりブラッシングはやはり必要で、通常であれば週に一度か二度で済むものを、春と秋の換毛期及び夏場には、特に大量の毛がどっと抜けるため、せっせと頻繁に梳いてやらねばならぬのだが、実はこの肝心のブラシ選び、なかなか難しい。
ご存知のよに、拙宅の猫ら二匹もやはり短毛猫である。これまで、一般的なスリッカーブラシや獣毛ブラシなど、幾つかを試したものの、前者は相当な嫌われっぷりで早々に撃沈。後者は仕上げの艶出しには良いかも知れぬが、抜け毛を取り除くには全く向かない。そこで小耳に挟んだシリコンブラシ『トレルンダ君』を試したところ、当たりはやわらかなのに、その名の通り毛が良く取れ、しかも取れた毛がタタミイワシ状にブラシ上で纏まって、水洗いOKと云う優れモノ。抜け毛が面白いよに取れる上、当の猫らも殆ど嫌がらず、こいつは良いものを見付けたぞ、と暫く愛用して居た。
しかし、難点が少々。タタミイワシになり損ねた結構な量の抜け毛が、室内にホワホワと飛び散るのである。又、毛質が細くてやわらか、毛量も少ない典型的”猫っ毛”のピピンに対し、もう一方のビルボは正反対。毛の一本一本が太くて毛量も多く、みっしりと毛深いため、シリコンブラシを些か強めに当てねばならず、そうなると毛が引っ張られてつれるのか、抗いこそしないものの、むっつりとして快い顔をしないのである(笑)。
他には亀の子タワシ。天然素材で安心、程好いマッサージ効果も在ってなかなか良い。が、如何せん。アンダーコートと呼ばれる下毛にまでは、充分に届かない。ううむ。やはり、幾つかのブラシを用途で使い分けるしかないのか。一つで全て足りるよな、そんなブラシは無いものか...。地道なブラシ探しを続けて居た、或る日。ひょっこり辿り着き、そして半信半疑のまま手にしたのが、この『ピロコーム』なのであった。


[asin:B0042RS10S:detail]
『ピロコーム』の詳細は会社のHP()をご覧になって頂くとして*1、さて。肝心の結果が如何であったかと云うと.....いやはや、是が実に優秀。実に考え抜かれたブラシ(コーム)なのであった。
鉤爪状の特殊なプラスティック素材の櫛歯自体が、非常にやわらかにしなって、ごっそり無駄毛が取れる上、取れた毛が中央付近へきれいに行儀良く集まって、困った飛び散りもほぼ皆無。又、櫛歯の先端が丸く処理されて居るため、キューティクルも皮膚も傷めること無く、猫も人も嬉しい愉しい気持ち良い、と。いつもブラッシング中はガードが固く、終始むっつり面であった忍びちゃんが、初めて自ら進んで「ここもお願い〜」とばかりに脇腹を伸ばし、脚を伸ばし、のぺーっと気持ち良さそにリラックスしたのであるよ!快挙である。確かに値はそれなりに張るが、それだけの価値は充分に在ろう。否。大仰でなしに、値段以上の価値が在るのじゃなかろか(笑)。嗚呼、どうしてもっと早く出会えなかったものか...。
毛の深い猫は勿論、若旦那のよな薄毛さんにも良い塩梅。猫にやさしい構造で負担が掛からないにも拘わらず、肝心の無駄な抜け毛や下毛はしっかりごっそり取れ、又、そうして無駄な毛が取り去られたことで、被毛自体がふんわり滑らかに。一方、扱う側の使い勝手としても、素晴らしい。持ち手部分は、何故かホタテ貝を模したデザイン*2なのだけれども、是が実に握り易く作られて居て、ブラッシングの際に殆ど力を入れる必要が無いのだ。猫の毛流れに沿って軽く動かすだけで、体の凹凸もスムースに、しかしながら下毛までしっかり届いてくれる。
使って愉しく、使われて嬉しい。蓋し、逸品である。



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因みに、最後の仕上げはタワシで。

猫にはサイザル辺りの固さが丁度宜しいかと。
毛並みが滑らかに整い、艶も出て良い塩梅。
お外の剣菱嬢もタワシっ娘だヨ!

*1:自社の製品と製品開発に向ける情熱、及び愛がひしと感じられて、こう云う一途な中小企業って、つい「頑張れ!」と応援したくなってしまうの(笑)。

*2:色々と試行錯誤の末、ようやっとこの形状へと至った際に「あれ?是って何だかホタテみたい」と云うので、じゃあいっそホタテにしちゃおっか...と想像。

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