双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

俯瞰

|雑記|


感情の回路をぷつんと切って、両の目を澄まして、
人の世を俯瞰で見れば、数多愚かが溢れて居る。
何処かで謂れの無い殺戮が行なわれ、
山程の命が踏みにじられて消えてゆく一方で、
それと時を同じくした別の場所では、
国の政治を預かる人たちが、全く馬鹿みたいな
互いのつつき合いや、みっともない罵り合いに興じ、
或る者は居眠り、或る者は猿芝居。
また別の何処かでは、顔の見えない人たちが
四角い画面の中へ、悪意や罵詈雑言を叩きつける。
飢えて死ぬ人が居て、食べ物を捨てる人が居る。
世界の何処かで起こって居るどんな出来事も、
ここに居る自分とは関わりが無い、と思う人が居る。


人間が「万物の霊長」などと、よくも云えたものだ。
自ら考えることを、探すことを、行なうことを、
選び取ることを面倒くさがり、容易く放棄し、
何でもかんでも機械にやらせることにして、
便利になればなるほど、人間は馬鹿になってゆく。
進化なんかじゃない。どんどん退化してゆく。
人間なんか嫌いだ。
嫌いだけれど、斯く云う私も人間である。
そんなことを一週間もずっと考えて居た。

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