双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ワクワクカーディガン

|手仕事|


『編みものともだち』より「アランロングカーディガン」仕上がる。

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いやあ。こんなに編むのが愉しくて仕方の無かったの、初めてだったなぁ。まるで魔法のよなカーディガンだ。目にした当初は「なんじゃこりゃ?」と一寸奇妙な…もとい、ユニークな模様たちがモリモリ勢揃いな上、写真での編地の感じから、身幅がギュウっと縮みそうに見えたため、心を惹かれつつも、ずっと一歩が踏み切れずに躊躇して居たのだけれど、久しぶりに本を開いたら、うん。やっぱり編みたいぞ!となって、前回のセーターを編み終えてすぐに取り掛かったのである。毛糸は例の如く、指定糸*1では無くて、昨年中に買い求めてあった袋売りの、極太に近い並太糸を使用。”桑染色”なる和の色で、芥子色にやや暗い緑を加えたよな微妙な色合いが、一目で気に入った次第。
ボリュームの在る個性的な模様の数々と、それに伴いきゅっと縮まって見えそなシルエットから、一見「ムチムチ必至なのでは…」とも思えるこのカーディガン。ところが。これら凹凸の深い模様が編地にもたらす伸縮が、実に程好いと云うのか、絶妙な塩梅と云うのか。あくまで自然に、至極自然に着る人の体へ沿ってくれるため、たとい太目の人であっても、あら不思議!すっきりした襟の形の効果も手伝って、何やら着やせして見えて、素敵に着こなせるのである*2。あんまり愉しくて、あんまり素敵なものだから、色を違えてもう一枚編もうかなぁ、などとうっかり口にしたら、二月に誕生日を控えた母が「私も是と同じの。同じ色で欲しい」と云い出す始末。愉しいから編むのは構わないけれど、でも同じ色って…ねぇ(笑)。
抱えさせた猫の絵の缶は、以前に頂戴した到来物のクッキー。中身を美味しく食べた後も、素敵な空き缶は、ほつれ止めピンや棒針キャップ、閉じ針、鋏などの編み物まわりの細々を収納するのに丁度宜しく、大変重宝して居る。

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正面と後ろ姿。
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【左】前身頃には左右に其々小さなポッケが一つずつ。ポッケに手を入れて居ると、いつだって安心できるから不思議だな。今回の前立ての仕立て方は、見頃と袖を全て繋いだ後、80cmの輪針でぐるっと目を拾って編んでゆく方法で。
【右】見よ。まさに圧巻の、迫力のこの後ろ姿!ずらーっと、びっしりと入った個性的な模様たちの躍動感ったら。何だかモンモン背負ってるみたいにも見えるけれど…(笑)。



【左】肩から背にかけての襟下部分。サドルショルダーに似たつくりで、パズルみたいな袖の凸凹を身頃と繋ぎ合わせると、こうなるのです。襟は前立てと一緒だけれど、途中から引き返し編みで仕立てます。
【右】模様色々。編み出しのボッブル(W使い)に細ハニカム、もっちりケーブル等々…どれも皆モリモリっとしてボリュームたっぷり、存在感たっぷりの個性派揃いだ(笑)。木の実だの草花だのを髣髴とさせる、面白い模様の面白い組み合わせが愉しいの。


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【左】袖部分。中央に配した模様は、伸びた木の枝の先へボッブルが鈴なりになったみたい。ボリューム、存在感共になかなかの分量なので、あえて余白は裏編みのみ、となって居る。確かに是が鹿の子だと、煩くなっちゃうだろな。
【右】連続した細ハニカム模様の丁度中央が、前後の身頃同士の閉じ合わせ部分。模様が繋がるぞ、ってのは事前に分かっちゃ居るのだけれど、いざ閉じ合わせてみて、こうしてピターっときれいに合うの。嗚呼、何て気持ち良いんだろ(笑)!!


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さて。今回のカーディガンは、或る意味で今までの集大成と云うのか、実に総ざらい的な一枚であったよに思う。例えば、模様編みにおける交差などの”仕事”は、通常は殆どが表(=奇数段)で行われるもので、基本的に裏(=偶数段)では何もせず、前段と同じ目を編めば良いだけなのだが、こちらは偶数段でも仕事が在るなど、イレギュラーな部分が多かった気がする。他にも、初めて目にするヘンテコ模様たち(笑)、ぐるり目を拾って編む前立てと、其処から続く襟の掛け目と滑り目の入った引き返し編み。凹凸の在る袖と見頃の、まるでパズルみたいな組み立て方。パーツ同士の繋ぎ方も、引き抜き接ぎ、目と段の接ぎ、メリヤス接ぎ、すくい閉じ等々…。本当に様々な技法が、この一枚のカーディガンの中へぎゅぎゅーっと詰め込まれて居て、だけれど決して疲れない。ちいとも飽きない。躍動感溢れるヘンテコ模様は愉快だし、凸凹パズルも模様合わせも、ぴたっとなるのが嬉しくて。だからずうっとワクワクなのだ。是を三國マジックと呼びたい(笑)。



|本|


テキストはこちら。

編みものともだち

編みものともだち

「アランロングカーディガン」は、かなり個性的なデザインだし、技術的にも決して易しくは無い筈だのに、編んで居て愉しくて愉しくて仕方が無かったなぁ。前回編んだセーターだって、編みたくて編み始めたのに、どうにも編みづらいと云うのか、途中でしんどくなって小休止を挟んだくらいだ。そして何よりハンサムセーターよか、こちらのヘンテコ模様のずらーっとなったのが、私には似合うのである(笑)。この差は興味深い。
その差の理由は実際に編んでみて分かった。例えば、是以上細くても太くても駄目であろう、10号針との相性も絶妙だし、模様の規則性も意外や、するするっと頭に入って来る。最後まで何らストレスを感じること無く、編んでワクワク。仕上げてワクワク。着てみてワクワク…とこの一枚を編むのに必要な様々の要素が全てワクワクに繋がって居る。兎に角、何から何まで実に良く考えられて居るのだ。ううむ。やっぱり三國さんて、すごいや。

*1:因みに指定はパピーの”ブリティッシュエロイカ”。

*2:是については私の他にも、我が母で実証済みなので間違いない(笑)。

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