双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

針と糸と

|縷々|


この冬は、久しぶりに編み針と毛糸を手にして居る。
最後はいつだったっけな、と記録を辿ったら、
実に一昨年の秋。随分と休んでしまったな。
杢調の灰がかった葡萄色のと、きれいな桑染色のと、
こないだ、袋売りの毛糸を安く手に入れたので、
セーターとカーディガンを、其々一着ずつ編みたい。
ずっと以前に編んだものは、あちこち汚したり、
ガス火で焦がしたり、引っ掛けて穴を開けたり。
すっかりよれて草臥れて、いよいよ引退である。
一旦は是らを処分しようとしたのだけれど、
ばらして、解いて、毛玉や埃をきれいに掃除して、
くるくる大きな玉に巻いた。こうして取っておいて、
部屋履きの靴下だとか、首巻きなんかに使えば良い。


セーターとカーディガンの構想をまとめる間に、
先ずは手慣らしと、半端な毛糸の始末も兼ね、
帽子や手袋などの役に立つ小物を、幾つか。
普段は使わないよな色を組合わせたり、
昔に買ったテキストを読み返してみたり。
久しぶりの編み物に愉しくなってくると、
あれもこれも。だから手を止めるのが惜しい。
針と糸と。傍らには、お茶の入った赤い魔法瓶。
嗚呼、やっぱり冬が好きなんだな。

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