双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

暢気者の自然農薬

|庭仕事|


鉢植えは元より、庭の草木においても、殆ど化学薬品を使ったことが無い。化成肥料の類ですら滅多に施さない。そうとなれば当然虫にも食われるし、たまに何らかの理由でいつの間にか、ひっそりと消えてしまうものも在るが、それも自然の摂理のひとつ。云い換えれば、逞しく生き残って毎年元気に育つものが、ここの土と条件に適応したもの、と云うことなのであろう。極めて自然である。
唯一病害虫対策らしい対策と云えば、水遣りの際に木酢液を混ぜたり、是を希釈したスプレーを枝葉に散布したり、とそんな程度か。拙宅に唯一残った小輪の蔓バラ『リトルルチア』などは、軒下のやや日陰の一角と云う、余りバラにとっては生育条件の宜しくない場所に在るために、しょっちゅうアブラムシやうどん粉病の被害を受けては居るが、特に薬剤を撒く訳でも無いのに、何だかんだ云って十年以上逞しく生きて居る。否、本来ならば定期的な追肥や病害虫薬の散布をして、然るべきなのであろうけれども、何せバラだけを特別視して居るのでもないし、そもそも園芸に関してはかなり大雑把な質なのだ(笑)。
しかしこの度、晴れて新たにオールドローズのお嬢さん方を迎え、やはり是ではいけないだろな、と思い至った。そうかと云って、私自身の肌が弱いのと(意外?)、剣菱嬢の存在などもあって、化学農薬はできれば使いたくない。そこで考えた結果、自然農薬なるものを自分で拵えて試してみよう!と。


先日の作業日誌()に書いた『ストチュウ』。つまり、酢+焼酎=ストチュウ(笑)。害虫忌避に軽い殺虫効果を兼ねた、実にシンプルなこの自然農薬は、唐辛子と大蒜をホワイトリカーなどに一か月程漬け込んだエキスに、同量の米酢や木酢液などを合わせたもの。お勝手にたまたま全ての材料が揃って居たので、早速に仕込んでみた。手頃な大きさのハチミツの空き瓶に、ちぎった唐辛子、スライスした大蒜を入れ、ホワイトリカーを注いだら、エキスが十分に抽出されるまで、一か月程寝かせて待つ。私は更にここへ、庭からちょん切って来たペパーミントとセージ、ローズマリー、ラベンダーを加えた*1。因みに、殺虫効果に優れた除虫菊の粉末やワームウッドなどを加える人も在るらしい。一か月後、この焼酎エキスへ、黒酢を加えれば出来上がりである(更に木酢液を加えても)。勿論米酢でも構わぬのだが、黒酢の方がアミノ酸などの栄養素を豊富に含んで居るため、より宜しいのではないかな、と。夏バテ気味で弱ったものには、活力剤として黒酢を水で50倍〜100倍希釈して、様子を見ながら散布して居るが、徐々に葉の艶が戻り元気になって来たので、やはり黒酢パワーに効果は在るのだろう。
又『スギナ液』『ローズマリー液』の材料であるスギナやローズマリーには、非常に高い殺菌作用が在るため、うどんこ病や黒星病の予防に使うと良いのらしい。私はここへ黒酢を加えたものをスプレー散布して、病気に備えようかと想う。しかしまぁ、草刈り作業の度、スギナなんて厄介なだけ!とばかり思って居たのに、こんな有効利用の方法が在ったとは。実に目から鱗である。因みにスギナは生葉を使ったが、数日乾燥させると成分が凝縮されるとのことなので、次回は乾燥させてみよう。
とまぁこんな具合に、自然農薬でバラの病害虫対策を目下実践中で、勿論、効果が化学農薬に及ばぬのは承知の上だし、元来が暢気だから、病害虫の被害が出たら出たで仕方無いか。そのときはそのとき、何か手立てを考えよう。そんな風に考えて居る。何より、こうした安全な自然農薬を、自分で拵えられる、と云うのが実に愉しいじゃないか。差し詰め調味料のレシピみたいに、基本材料へ相乗効果の在る材料を足してみたり、或いは引いてみたり。自分の好みや求めに応じて、色々いじれるのが愉しいし、まるで実験のよに様々な組合せを試行錯誤する面白さも在る。身近な材料だけで作れるから、懐にも優しい。
植物、ことバラの栽培に関しては、どうしても神経質にならざるを得ない御仁も多いかと思うが、私はあんまり細かく考え過ぎたり、あれこれと悲観し過ぎたりすると、植物も我々と同じ生き物。そう云うネガティヴな要素が相手(バラ)にも伝わるよな気がするので、考え過ぎず、いじり過ぎず。世話するこちらがでーんと構えて大らかにして居れば、きっと大らかに逞しく育つのじゃないかなぁ。



現在漬け込み中の『ストチュウ』焼酎液。



焼酎に漬け込む基本材料は唐辛子と大蒜。”ホビチュウ”には更に数種類のハーブを加えましたヨ。見た目にはハーブビネガーみたいだし、未だ仕込んだばかりなので、蓋を開けるとなかなか美味しそな匂いなのですが、一ヵ月後には相当強烈な代物になるのじゃないかな、と期待して居ります...(笑)。

*1:何れも虫除けや殺菌作用を持つハーブで、野菜やバラのコンパニオンプランツとしても知られて居る。自然農薬にしろコンパニオンプランツにしろ、その効果に対して懐疑的なむきの在るのも事実だが、私は「趣味の園芸は愉しいのが第一」と云う考えなので、頭でっかちにならず、面白そなことは何でも前向きにやってみたいのである。

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