双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ズボラ園芸返上

|庭仕事|


草花の育つに任せた放任主義、などと云えば聞こえは良いが、単にズボラから手入れを怠って居るだけなので、盛夏を過ぎた現在。ちりちりに乾いて枯れるものは枯れ果て、茂るばかりのものは茂るだけ茂り、いよいよ以って、にっちもさっちもゆかぬ有様となってしまったのである。
数年前の初秋の頃であったか。十数年かけて大きく育った、立派な蔓バラとローズマリーの大株が、あろうことか、突然に立ち枯れてしまったことで、すっかり気が抜けて、以来ズボラ園芸の一途を辿りつつあった訳なのだけれど、復活の機は不意に訪れた。
先日、英国は湖水地方に在る屋敷の庭を紹介したドキュメンタリ番組を、何気無く観て居たら、長らく眠り続けていた園芸欲が、横っ面を叩かれた如く、パチッと目を覚ましたのである。嗚呼、そうだった。ズボラ園芸など返上せねば!ほったらかしにきちんと手を入れて、地味は地味なりに、小さくとも心安らぐ庭を育てよう。忘れかけて居た庭弄りの愉しみが、ムクムクよみがえり、本棚から草臥れた園芸書を幾つもを引っ張り出して*1、そして本日。ようやっと草刈り鎌を手に、腕まくりして表へ飛び出したのであった。


幸い天気は薄曇り。風も涼しくて過ごし易く、庭弄りには丁度である。先ずは、生い茂るばかりになった花壇の整地。一面に広がるだけ広がってしまった、セイヨウノコギリソウから手を付けることとした。野趣溢れる手の掛からない花だが、放っておけば好きなだけ根を張って広がって、その結果が現在の有様なので、一塊だけ残し、後は全て潔く根ごと刈り取ってしまう。同じく、ヒメシャラの足元にはびこったワイヤープランツも、刈る。ついでにドクダミやらツワブキやらも、刈る。増え過ぎたメドウセージは、一塊だけ残して、やはり刈る。兎に角、刈って刈って刈り取りまくり、お次は、枝ぶりの暴れるままとなって居たチェリーセージの大株を、半分程にばっさりと剪定鋏で刈り込んで、すっきり。すると一時間後。久しく目にして居なかった地面が、花壇一面に出現した。いやぁ、随分と清々したなぁ(笑)。
続いて土おこしの作業。剣スコップでもって、えっちらおっちら、土を掘り起こしたところへ、裏手の良い土*2をバケツに運んで来て、腐葉土一袋と合わせてここへ梳き込むと、ふかふかで黒々とした素敵な土となった。鉢植えだったキャットミントとセージを整えて移植し、先程の草刈りの際に掘り起こしたスノーフレークの球根は、ヒメシャラの足元へ円形に植え戻した。
作業は隣の花壇へと移って、先ずはエキノプスの大株を慎重に掘り起こし、四つに株分け。ベニカノコソウの大株も、今の場所では窮屈そうなので掘り起こす。先程と同様に土おこし、腐葉土などを梳き込んだ後、これらを其々好ましい場所へと移植。幾種類かのタイムたちは、軽く刈り込んで整え、根の出て伸びてしまった枝には、上から土を被せた。空いたスペースへは、後程、球根やら宿根草やらを新たに植える予定である。
一寸嬉しかったこと。昼寝に飽きた剣菱嬢が興味津々で、移動の度にちょこちょこと後を付いて来たり、しゃがみ込んだ作業の傍らに、小首を傾げて手元を覗き込むなどして、ずっと庭弄りにお付き合いしてくれたのだけれど、拙宅の坊っちゃんらは家の中だから、こう云うの、何だか新鮮だった(笑)。剣菱も気に入るよな、こじんまりした素敵な庭になると良いな。

*1:何れも二十年近く前のものだが、今もって心の糧である。

*2:いつだったか、刈り込んだ枯れ草を積んで置いた所の土が、ミミズらとの協力体制によって、実に良い塩梅の土に出来上がって居たのを偶然に発見して以来、是をしばしば利用して居る。

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