|雑記|
■遅まきながら、ベン・ウィショー主演の海外ドラマ『ロンドン・スパイ』全五話を見終えたのだけれども、何と云うか是はもう、世界中の皆様方の「こんなベン・ウィショーが観たいのダ!」と云う要求に全て答えた格好であろう、と(笑)。雨でも雨じゃなくても濡れそぼった小動物みたいで、いつもひとりぼっちで、身の置き所が無い感じで、猫背で上目遣いで、小汚い服着て小汚いザック下げて小汚い部屋に住んで、屈むとジーンズとセーターの間から無防備な背中がチラリと覗いて、鼻水垂らしながら泣いて、何度やってもネクタイ結べなくて、PCいじる手が何と無く機械オンチっぽくて(Qなのに)、こっそり詩だの短編なんか書いて居たりして、ものすごく乙女チックで、ひたすら恋に盲目で...(切りが無いので以下省略)って、いやでもね、是が遣る瀬無い話なんだ、実に。フェリーに乗ったジム・ブロードベント*1が、しみじみ云うの。どんな服着て居ようが、誰と手をつなごうが、誰の目も気にせずに居られる。何処かにそんな場所が在ったら良いのになぁ、みたいなことをね。何だか、切なくてしんみりしちゃったヨ...。兎にも角にもベン・ウィショー在りきの作品なのだけれど、ジム・ブロードベントとシャーロット・ランプリングは別格と云うか、凄みが在って、やはり上手い役者だなぁ、と。
■NETFLIX無料お試し期間中ついでに『FARGO/ファーゴ』シーズン1 全十話も観たヨ。嗚呼、久々に面白かった!出演陣が地味に豪華で、ビリー・ボブの淡々と職人然とした殺し屋*2も見事だけれど、誰もが誰も引けを取って居ないのが凄い。個人的には、食品スーパー成金のオリバー・プラットのエピソードが好きだった。あの息子、良い息子じゃないか(笑)。お金返したのに死んじゃってね...。ドラマ版ながら製作総指揮がコーエン兄弟と云うので、映画の味わいや世界観はそのまま引き継がれて居て、一見間抜けな可笑しみの中にも、人間のどうしようもない愚かさだとか冷え冷えとした絶望感だとかがね。見終えると寒々とした心持ちになってしまうのよね。モリーとガスの、おぼこくて微笑ましいカップルが、唯一の安らぎでした(笑)。