双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

柔軟性と筋力と

|太極拳|


子供の時分から、平均よりも体の軟らかい質なのだけれど、何故か股関節だけは滅法固い。否、正確には”固くなってしまった”と云うべきか。かつては開脚も、開脚してべたーっと上半身を床へ着けることも易々と出来たのに、あれから四半世紀。四十路の現在では、股関節に加えて腿裏まで、まるでガチガチ、ときたもんだ。時の流れは無情である(笑)。こと、太極拳の稽古でそれを痛切に思い知らされるのが”蹬脚(ドンジャオ)”と”下勢独立(シャーシードゥーリー)”で、己の身体能力の範囲で行なえば良いとは云え、更なる上達を目指すなら、股関節の可動域を広げるに越したことはなかろう、と。そこで”圧腿(ヤートゥイ)”なのである。
”圧腿”とは中国武術における基本功の一つ。主に腿の前、後ろ、外、内の其々を、手摺りや壁などを使って伸ばす脚部のストレッチであるが、少林拳の殆ど垂直な圧腿なんぞ、常人からしたら、それこそ苦行にしか見えず(笑)、特に私のよに股関節や腿裏の固い場合は、先ず是以前に、予め床の上でストレッチするなどして、しっかり慣らし、圧腿のための準備を整えねばならぬため、それだけでも十分苦行に値する。こうしたストレッチの類も又、休まず続けることで必ず効果の出るものだから、気長に頑張って続けるつもりだけれど、爪先に額の着く日など、やれやれ。果たしていつになることやら...。

【左】正圧腿(チョンヤートゥイ)と【右】側圧腿(ツォヤートゥイ)。膝は真っ直ぐにするべし。


たとい股関節や腱が柔らかくなっても、そこで満足して終わってはいけない。ゆっくりと徐々に脚を持ち上げるだとか、持ち上げた状態を維持するだとか、開脚した低い体勢からの立ち上がりだとかの動作は、柔軟性に加え、相応の筋力が伴なわねば非常に困難なのであって、つまりは、脚力やら背筋やら腹筋やらの、様々な部位の筋力も必要となるのである。
全ては均整と調和。何か一つだけでは、まあるくならぬのだわねぇ。精進精進...。

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