双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

前髪と口紅

|雑記|

午前中に猫らのお世話、掃除と洗濯を済ませ、
暫しほっと一息。軽い昼食の後に身支度し、
午後、曇り空の下を歩いて散髪へ行く。
「いつも通りで宜しいですか?」
はい、と云い掛けたところで、
何故だか、はたと思い直した。
「あの、いつも通りで良いのですが、
前髪には何かこう、変化と云うのか
アクセントと云うのか...パキっと!
兎に角、こうパキっとしたいな、と」
”いつも通り”の前髪は、目の上の長さで
無難に切り揃えて居り、それはそれで
気に入っては居るのだけれど、何故だか
無性にパキっと変化が欲しくなったのである。
しかしながら、具体案が在る訳で無し。
ううむ、どうしたものだろ。
すると美容師さんが、粋な案を出して下さった。
「確かに、全体の長さはそのままでも、
前髪次第で印象はガラっと変わります。
毛先をざくざくっとする手も在りますが、
そうですねぇ。あ!斜めカットは如何ですか?
ホビさんなら、きっと似合うと思いますヨ」
おお、斜めカットか。うん、それでお願いします!
と云う訳で、全体の長さと襟足の刈上げは
いつも通りに、両サイドのボリュームのみ、
前髪との兼ね合いで少し抑え目に調整。
いざ前髪へ潔い鋏がジョキっと入ると、
久々に眉が顔を出した。わくわくするなぁ。
ついでにボサボサだった眉も整えて頂き*1
小一時間程して仕上がった髪形は、
一寸だけラジカルで、ピリっとパキっと。
「良いですね。如何ですか?」
「はい、良いですね!」
小さいながらも何かが変わって、嬉しくなって店を出た。
こんなうきうきした、軽やかな気分、久しぶりだなぁ。
眉を出して前髪がパキっとしたので、
顔立ちもパキっとするよな口紅が欲しくなり、
帰りに寄り道。化粧品の棚にズラリ並んだ中から、
華やかな赤に、ほんの少しだけ青みの入った、
べったりせず軽過ぎずの、程好い色付きのを選んで、
ひとつ、買い求めた。表へ出ると、風が冷たいこと。
外套の襟をぎゅっとして、足取り軽く家路を急ぐ。
明日は新しい前髪に、新しい口紅つけて。
何かを一寸だけ変えるのは、愉しい。

*1:普段手を入れぬだけに、たまに自分ですると云うと、大抵失敗するので(笑)。

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