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拙雑記帖。猫ブログでも何でも無いのであるが、時折出て来る猫ついでに、”療法食”と呼ばれる治療用フードの処方について想うところを、たまには一寸だけ真面目に書いてみよかしら、と。
ただし、是はあくまでも私の個人的な意見です故、悪しからず...。
少し前の若旦那小水問題(◆ ◆参照)でしみじみと感じたのは、特に勉強熱心なお医者は別として、地方の平均的な動物のお医者と云うのは、概ねフードに関して、どうも通り一遍な傾向にあるよに感じざるを得ない。確かに、日々の診察や手術などで手一杯なのは想像できるし、メーカーさんとの兼ね合いなどの絡む部分も在るのかも知れぬが、いずれにしてもすっきりしないのである。
今回、若旦那が出された療法食はロイヤルカナン社の『phコントロール1』。こちらはアルカリの強くなった尿を半ば強引に酸性へ持ってゆき、膀胱内のストルバイト結石を溶解するための、云わば薬の役割をも併せ持った治療用フードである。ちなみに頑固な結石には『0』と云う、より成分の強力なものも在り、先生からはいきなりこちらを薦められたのだが、膀胱洗浄とカテーテルとの処置で、膀胱内の結晶は一旦きれいに排出された訳だから、先ずは『1』で様子見したい、とこちらを処方して頂いた。しかし最も驚いたのは、以降もずっと(=生涯)この療法食を続けるべし、とさらり仰られたこと。
この場合(ストルバイト尿石症)の療法食とはつまり治療専用、早い話が薬みたいなものだ。尿を酸性に傾け、ストルバイト結石を溶解すると云う治療目的故に、当然通常に比べ成分的には偏った内容で、ナトリウム(我々で云うところの塩分ですな)の含有量が半端じゃない。我々が寿司を食べた後で、何やら物凄く喉が渇くのを思い出して頂ければ分かりやすいか。つまりあれと同じ要領で、しょっぱいご飯を食べると喉が渇く。喉が渇くから水をがぶ飲みする。そうしてがぶ飲みした水分は尿となるため、フードによって溶解された結晶・結石を、この尿と共にどんどん出してしまおう、と。うん。それは理屈として理解しよう。理解はするが、病気が治った後も是を一生続けると云うのは、果たして如何なものなのだろか?長期間に渡る塩分の採り過ぎは他の臓器に負担をかけやしまいか?それに、強いアルカリへ傾いた尿がストルバイト結石を形成する一方で、酸性へ傾き過ぎた尿はシュウ酸カルシウム結石を形成するのである。と云うことは、尿のphを強い酸性へ傾け続ければ、今度はシュウ酸カルシウム尿石症を起こしてしまうこととなる可能性も在る訳で、実際、この悪しきループから抜け出せずに居る猫は少なくないと聞く。それは果たして正しい方法なのか、否か...。その辺りの納得できるよな説明がお医者の口から聞けぬ限り、私には些かの疑問が残るのである。拙宅の掛かりつけは決してヤブではないし、実に良心的なお医者である。しかし、ことフードに関する質問には「うーん、そうですねぇ。でも療法食ですから、これさえ食べて居れば大丈夫だと思います」などと、実に曖昧と云うか通り一遍と云うか。メーカーがパッケージに書いて居る説明・情報以上の答えは返ってこなかった。
処方された療法食を先生の指示通り与えること、一か月と少し。その間に受けた三回の尿検査ではphも正常値、結晶も検出されず、三回とも無事合格点を頂戴したので、是非とも『phコントロール1』は卒業したいなぁ、と考え、ヒルズ社の『c/dマルチケア ライト』はどうでしょう?と伺ってみた。こちらも同様に下部尿路疾患用の療法食ではあるが、所謂”維持食”とでも云うのだろか。結石を溶解する機能は無いが、治療によって安定した尿が理想的なph値を保てるよにできて居り、つまり集中的な治療を経た後に切り替えるフード、と云った位置付けである。先生は「うーん。ウチではヒルズの飼い主さん、殆ど居ないんですけどねぇ...」と、案の定ロイヤルカナン社のを薦めたがったものの、結果として了承を得られたため『c/dマルチケア ライト』に切り替え、是を以降三ヶ月程与えた。とは云え、メーカー側の”塩分控えめで長期間の給与も可能”と云う謳い文句は在るものの、是も又、療法食であることに変わりは無い。いっそ”通常食としても安心してどうぞ!”などとはっきりと書かれてあれば話は別だが、長期と云うのが一体どのくらいなのかが曖昧な上、”塩分控えめ”も”可能”も些か消極的なニュアンスに感じられるのだよなぁ(笑)。
と云う訳で、現在は療法食からケアフードなるものへ移行した次第。ケアフードと云うのは通常食の中の一つであるが、下部尿路疾患だの腎臓だの胃腸だの、其々の体調や体質に合わせて成分を調整してあるフードで、準療法食と呼べるものから、結構大雑把なもの*1まで様々。拙宅では、準療法食のプロステージ『ル・シャット』シリーズの中から、若旦那には下部尿路疾患対策用”ファーレ”(忍びちゃんには腎臓対策”デトレ”)を与えることとした*2。念の為にロール式のph試験紙も入手し、自宅でお小水のphをチェックをして居るのだけれども、大体がph値6台をキープ。今のところ快眠・快食・快便、そして快尿の健康そのもの。お小水がジャージャー出て居る様は、何とも嬉しい限りである。
が。またいつ何かのストレス要因が引き金となって再発するやも知れぬため、主は相変わらず気が抜けぬのであるよ...。
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参考までに拙宅の猫らのカリカリ遍歴。
■若旦那■
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ふたり共、ずっと『ピュリナワン』のままで居られたら良かったのになぁ...。