双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

事情

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いつぞやも書いたが、私は滅多に家を空けない。否「空けられぬ」と云った方が、正しい。理由はズバリ、拙宅の”猫二匹の給餌問題”である。給餌如きで何がお困りか?とお思いだろうが、まあ是が色々と複雑なのである。
御飯は一日二回。お小水問題のデリケエトな若旦那には下部尿路疾患、生まれつき腎臓に難在りの忍びには腎臓病、と其々の体の状態に配慮した異なる種類の品を与えねばならず、更に忍びについては、ここへ毎回の漢方薬が加わる。白湯で溶いたのをかけて”つゆだく御飯”にして居るのだが、食い意地の張った若旦那は是を狙って、そそくさと自分の茶碗が空となると、忍びの茶碗に首を突っ込みたがるため、うっかり気が抜けない(笑)。特に投薬などの必要も無く、二匹とも同じ餌で良いのであれば、留守中の分をどんぶりに山盛りよそって置いてゆくだとか、自動給餌機にセットしてゆく、などの方法もとれようが、前述の事情から拙宅の場合はそれができないし、又、家族と共に住まって居るのであれば、給餌を家族の誰かに頼んで出掛けられるけれども、独り住まいではそれも叶わぬ、と云う訳である*1。トホホ...。
近頃では、斯様な坊ちゃんらに加えて軒猫の剣菱嬢もここへ加わり、益々家を空けられなくなった。と云うのも、隣家の塀の上や、空き地へ面した境界は他の猫たちも通り掛る、所謂”猫道”。仮に留守中に置き餌をしておけば、恐らくは剣菱以外の野良猫ら*2が是を嗅ぎ付けて食べに来てしまわぬとも限らない。否、その可能性が非常に高い。そうなっては困るし、何しろ剣菱ときたら、一旦互いに顔を合わせ、更に私が茶碗を持って裏口の給餌場へ置いたのを確認しないと、なかなか餌を食べてくれない、とくる。嗚呼、全くどうして私の世話する猫どもは、揃いも揃って手が掛かるのかしらん。
それを思うと、故アーロンが如何に手の掛からぬ猫であったかが、改めて身にしみるのである。アーロンは一日分の餌を茶碗によそっておけば、自分のペースで是をきちんと分けて食べた。留守中の分をどんぶりへ山盛りにしておけたし、食に関して実にきれいな質であったから、ちゃぶ台の上に菓子パンなどを置いたままでも、全く手を出すことが無く、若旦那みたいに肝を冷やすよな悪戯も一切しなかったので、三日や四日なら安心して家を空けられたものだった。しかも晩年まで病気一つせずに居て。まぁそれもこれも、アーロンがたまたま出来すぎた猫であった、と云うことなのだろな。


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そうは云ってもね。お前らが居るから、毎日が愉しいのだけれどね。

*1:止むを得ず留守にしなければならない場合には、Aちゃんが代わりを務めてくれることも在る。

*2:どうやら近所に無責任な”餌やり”が居るのらしく、皆丸々として居て図々しい。勿論、何れも未去勢のままであるよ...。

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