双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

書いても書かなくても

|雑記|


日々は滞り無く進み、そうやって
いよいよ師走も半ばとなった。
何処かで時間が止まることも、
天地がひっくり返ることも無く、
只、淡々と一日一日が過ぎてゆく。
一日の長さは、いつだって同じ筈だのに、
それが感覚として短く感じられるのは、
何だかおかしなもの、妙なものと想う。


日常が”取り留めの無い出来事”の
集まりで出来上がって居るのだとするならば、
「特に書き留める程のものじゃない」
と考えたとしても、それは決して
書くに値しない、だとか、つまらぬから
と云うのが理由なのではないのだ。
取り留めの無い事柄は、言葉とならずとも、
たといそこへ書かれることがなくとも、
日々をかたち作り、日々を動かして居るのだ。


苦心してあったかに拵えた段ボールハウスへ、
剣菱が泊まってくれて居れば、嬉しい。
若旦那のお小水が毎日ちゃんと出て、
くるくると元気に鳴いてくれれば、嬉しい。
普段は遠慮がちで控えめな忍びちゃんが、
甘えたり意思表示してくれれば、嬉しい。
若いひとが、珈琲を頼んでくれれば、嬉しい。
今日、外へおつかいに出たら、
空気がきんと冷えて、いつになく寒かった。
寒いのが嬉しい、なんて云ったらおかしいだろか。
けれど嗚呼、本当に冬なんだな、と想ったら、
心が浮き立つのを感じて、わくわくした。


書いても書かなくても、どうと云うことの無い、
何でも無い、そんなものの積み重ねの毎日。

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