双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

若旦那の退院

|若旦那|


日曜の晩の緊急入院から、一夜明けた月曜日。母方の祖父の十三回忌法要で午前中から忙しく、会食を終えてようやっと帰宅したのが夕刻前。ずっと気が気で無かった。夜七時過ぎに祝日で休診のお医者へ。ケージの並んだ入院室へ通されると、カラーを首に巻き、前足に点滴のチューブを固定された若旦那が、ケージの奥に固まって、真ん丸の眼をしてこちらを見て居た。まるで知らない人を見るよな目つきである。そりゃそうだろう。いきなりお医者へ連れてこられて、おっかない思いをして、点滴だのカテーテルだの不快なものをくっつけられて、狭い所へ入れられて居るのである。御免な、若旦那。
点滴の水分はお小水となって、尿道へ入れたカテーテルからそのまま排出されるため、ペットシーツはお小水でびっしょり。是を取り替えるために、主が呼ばれた訳なのだけれども、予め、隣のケージを整えておいて、お小水まみれの若旦那を抱き上げて出し、そうして主が抱いて居る間に抗生剤の注射。若旦那、ウウゥと唸って威嚇し、一瞬ひやっとさせるも、何とか無事移動完了。すると先生が仰る。「今晩も入院を考えて居たんですが、どうかなぁ。思ったより経過が良いみたいなので、今日このまま連れて帰りますか?」はい、そうします!若旦那だって、早く我が家へ帰りたかろうよ。



その前に、診察室にて先生から経過と説明を聞く。尿道に詰まった結石は取り除き、その後の膀胱洗浄及び一晩の点滴とカテーテルとの処置で、膀胱内の結晶もほぼ排出できたと思われるが、未だ若干残って居るかも知れない。今後は結晶を溶解するための療法食を一ヶ月間、結晶が無くなるまで与えながら様子を見てゆきましょう、とのことであった。
実は前回の結晶検出の際、溶解用の療法食の具体的な投与期間につては、特に話が無かったのだ。と云うのも、幸い二回目の通院で尿から結晶が検出されず、pH値も少し下がって来て居たため、もう大丈夫かなと仰って、抗生剤も処方されなかったので、溶解用の療法食はトータルで十日間程与え、その後は下部尿路疾患に良いと云うフードに変えて過ごして居たのである。今にして思えば、お小水の量は結晶騒ぎ以前の”大玉”と比べると”中玉の大”程ではあった。恐らくは、二回目の検査では、たまたま結晶が検出されなかったが、療法食を与える期間が足りなかった所為で、膀胱内の結晶が溶け切らずに残って居り、その内の幾らかが今回、一個の塊となって、悪さをしたのであろう。しかし、この療法食と云うのが、つい与えるのを躊躇するくらい塩分が強いもので、投与についてなど、もう少し突っ込んで詳しく聞けば良かったのだろうが、何れにせよ、お医者との間の齟齬*1が、結果若旦那に気の毒をさせてしまった。嗚呼、本当に申し訳ない。今回は、一か月との具体的な指示があったので、是はしっかり守らねば。
抗生剤と療法食を処方され、予定よか一日早い退院となった若旦那は、帰りの車の中でも神妙であったものの、帰宅すると忍びちゃんの出迎えに、鼻チューで答えてホッとした様子。その晩は、珍しく二匹くっついて眠って居た。やっぱり、お互いに寂しかったんだねぇ。そんな光景に安堵するも、気の抜けぬ日々とドタバタは、未だ暫く続きそうである。

*1:この先生、何と云うか、言葉が足りないんだよなぁ。それに、あんまり細かく質問すると、ちょっとムッとしたよな顔なさるのよね(笑)。

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