2014-08-12 八月の白昼夢 |縷々| 道路沿いの広大な敷地から、巨大な建物が ぽっかりと消えてしまった。住宅地の中の旧校舎。 廃材は片付けられ、すっかり更地にされて、 八月の熱の下、夏休みで人の気配を失った様は、 まるで、おそろしく静かな爆心地みたいだった。 バランスを失った新校舎。体育館も、運動場も。 おびただしい蝉の声ですら、静けさに吸い込まれ、 その空洞だけが、何処からも完全に孤立して見える。 真夏の中に浮かんだ、白昼夢のよな静寂の光景。